瞬間接着剤

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後輩目線‥‥ 駐車場でキーを渡され、兄さん達は 後部座席に乗り込む。 「あの、どちらの家に‥‥」言いかけた途端に、いつもより幾分も低いトーンで 「俺ん家や‥‥。その前に、どっかで三日分の食べもん買って来てくれるか?‥‥休みの間、出歩けられへんからな。」 言葉遣いは優しいが、判ってて聞くなや!的なニュアンスが怖い。 いっそのこと、井本さんのように怒鳴り散らしてくれた方がまし。 「なぁ、藤原の家に行くん?」 「ン?嫌なん‥」そう言いながら髪を梳く。 「ややない‥‥」 後部座席でいちゃつく二人。とてもじゃないが普段からは想像がつかない。しかも声のトーンが全然違って甘い。 近くのスーパーに車を止めて、 「兄さん、なに買って来ましょ?」 後ろを振り返り尋ねると、手の甲を撫でて、キスを繰り返している兄さん達がいた。 「あ"ァ"ー?」と、邪魔をされて不機嫌そのままの声で返される。 「あっ、いえ‥何か欲しいものとか‥‥」オドオドと頭を下げながらゆうと、 「チッ!‥せやな、取り敢えずプリンと豆乳は忘れんと買って来てや‥後は、適当でええ。井本は何かあるか?」 「‥なんもいらん。」 藤原さんから目を逸らさずトロンとしたまま答える。 井本さんの唇を指でなぞってから、財布からお金を出して渡す。 ‥なんやマジでエロいし、 視線が恐いんですけど。 藤原さん、ずっと不機嫌やし‥‥ 車内に兄さん達を置いて店内に入った。
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