瞬間接着剤

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車内にて‥‥‥ 「なっ、まだ怒ってンか?」 「‥‥」プンッとソッポを向く。 「何でそんなに腹立つねん‥‥ゆうたらスッキリすんで?」 耳元で息を吹き掛けるようにゆうと、小さく身体がはねる。 「‥やってや、アイツがお前の事を昔はダサくて暗くて趣味悪かった癖に‥ッて、ちょっと身体鍛えたから、格好つけてるッて‥‥」 「フッ‥なんやねん、それ。俺、別に気にせェへんよ。」 俺の言葉に目を丸くして、 「でも、アイツ全然知らん癖に‥どんなけお前が頑張ったか。‥アイツらが思う以上に藤原が傷付くのに‥‥それでも昔と全然変わらんと優しいのに‥‥なんも知らん癖に‥ッて思ったら‥‥」 「キレてたんか?」 「ぉん‥‥」 口を尖らして俯く。 「クスッ、‥アホやなぁ、俺は井本だけが判っててくれたらええねんで‥‥」 「でも‥‥」 「アイツも他の奴等からゆわされたんやと思うよ。なっ、‥」 「でも‥」 「ありがと。俺、ホンマに好きやわ‥お前のそんなとこ。」 抱き寄せようとするが手が繋がったままでは思うようにいかない。 膝をポンポンと叩き、井本を座るように促す。 ゆっくりと俺の膝に向き合うように座って胸に顔を埋める。 そして、小さな声で 「外から見えるやろ‥」と耳まで真っ赤にする。 「心配せんでも見えへん‥‥じっとしてたらわからへんから‥」 指を顎に置いて顔を上げさせ、正面から軽くキスをする。 「‥ンッ、‥」 「もうキレて危ないことをしたらアカンで。‥‥もしも俺以外とこんなんなったらと思うと‥俺、相手の手の皮剥いでしまうで‥‥」 抱き締めながらゆう。 「‥ごめん。もうちょっと我慢する‥‥ように、努力はする。」 「アハハ、素直やな。」 「‥やって俺も嫌や。お前が他の奴とやなんて‥‥」
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