71人が本棚に入れています
本棚に追加
/384ページ
目的地を告げると、
「ナンか買っていかなアカンか?」
藤原が、腹減ってるやろ と訊く。
「ソやな うちナンもないわ酒もきれてるわ」
「そう一か‥なぁコンビニ寄ってや」
運転手に変更を言ってから窓の外を眺める。はぁ‥またため息‥
藤原がメンタル面に弱い間は
‥例え彼女がデキタとしても‥
ずっと傍に居ることが出来るから
…自分勝手な願いやけど…
今のままで‥弱いままで‥居ってて…
黙ったまま目を閉じた。
マンション近くのコンビニに着き、タクシーの支払いを藤原に任せ店に入る。
すぐさま酒コーナーへ
取り敢えずビールと焼酎。ツマミにカワキモン少し
「おぃ藤原~」って居らへんやン
店内を見回すと商品棚から頭一つ分飛び出た奴が 腕を組んで親指の爪を噛んでいる。
頸を傾げ、頬杖をつくように角度を変える。口元からは少しばかりの笑み。
‥妙にエロいよな 何であんなに
色気あるンやろか‥
俺に気付いた藤原の顔が紅くなった。
‥何紅くなってンねん‥
傍に近付くと 《歯ブラシ》?
「はぁ?どうしたン?」
紅いままで
「‥いやな 最近呑んだら寝てまうから‥」
「チッ‥泊まるつもりかい!」
「‥‥‥」眼が泳いでる。
「磨かな気持ち悪いんやったら買ったら」
仕方なく、俺ん家予備無いで‥というと、嬉しそうに選び始めた。
別にどォってこと無いのに、俺まで嬉しくなる。
‥ナンや彼女が泊まりにくるみたいやんか‥
「‥着替えも欲しいか‥な?」
一人言のように言う藤原に
「オカマか─?ナンヤったら《お泊まりセット》
一式買っとけや!」
恥ずかしくなり、わざと茶化したつもりなのに
「そやなぁー そうしょ」と、本気で考え出すのを愛おしくなって‥わざと苛々したように
「早よして!腹減ってンねん!」
「おっ‥おん!本読んどって、
俺、まとめて払うわ」
そう言ってカゴを取り上げ店内を回る。
仕方なく雑誌を手に取り藤原を待つ事にした。
支払いを済ませたあと、金を出す、出さんで言い合いながらマンションまで歩いた。
最初のコメントを投稿しよう!