瞬間接着剤

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もう一度抱き締めて尋ねる。 「じゃぁ、何で泣くン?‥」 「藤原が優しいから‥‥、怒らへんから‥‥不安になんねん。迷惑かけてんのに、ッて ‥」 「クスッ、可愛いなぁ、‥‥迷惑なんて何も無いで。俺、てっきりやり過ぎたんかと‥‥‥」 クシャッと笑うと、涙目のまま少し微笑んで 「‥それは‥‥いややない‥」 ゆうてからうつ向く。 「じゃ、続きしよか‥‥」 「‥や、」 「何でなん‥」 「‥まだちゃんと、謝ってへんからァ‥」 俺の肩に腕を回し耳元で、 「ごめん。‥こんな事になってしもて。 ‥‥嫌わんとってやぁ。 ‥見放さんとってやぁ‥‥」 声が震えて首筋に涙が伝う。 頭を撫でながら、 「大丈夫やからこんな事で泣きなや‥お前らしないなぁ‥」 髪に口づけてから 「いつもと何も変わらへん。‥お前は、俺の腕の中で俺だけを感じてたらええねん。‥ なっ、いつもとおんなじやろ?」 「‥ぉん。‥」 背中を擦りながら落ち着くまで、おんなじやろッて、繰り返した。 「クスクス、今日はエライ可愛いやん。目茶苦茶甘えたモードやし、毒吐かんし‥」 「‥俺のせいやから‥‥」 膝の上で大人しく座って俺の手からお寿司を食べている。 始めは自分の左手で食べていたのだが、ポロポロこぼしてしまう ‥不器用なんやな。 モグモグと口一杯に頬張り食べる。 「クスクス、美味しいか?」 「ぉん。‥けど、藤原の飯がええ‥」 「また、作っちゃるよ。今夜はまだまだせなあかん事があるから、なっ。」 「‥?」 不思議そな顔で俺の指についたご飯粒を舐めとっている。
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