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頭と身体を拭き合って、リビングに戻り融解剤ではずそうと試みる。
井本は、エライ反対したがこのままやと罪悪感で神経がまいってしまいそに感じた。
「大丈夫や‥後少しやから、なんともないしな。」
下にタオルを敷き、手に垂らす。
ゆっくりと馴染ませるように揉み込んでいくとあっけなく外れた。
「良かったな。裸で寝らんで済んだで‥」
手を綺麗に拭いてやり目の前に見せる。
「‥んっ、ありがと。‥‥」
両手で俺の頬を挟みそれから、肩に腕を回して抱きつく。
「‥‥ギュッて、‥‥」
「ええよ。‥ 」
俺も両手を背中に回して抱き締めてやる。切なげな声が洩れて、しがみついてくる。
「やっぱり、藤原は両手がええ‥‥痛いくらいが丁度ええ‥」
頭を撫でながら、耳元で
「せやな、繋がったままでも幸せやったけど、やっぱり両手でしがみついてて欲しいな‥‥」
髪を梳き、唇を指でなぞる。
じっと俺の目を見つめている。
「今日は遅いからこのくらいにしとこか。ゆっくり寝てまた、明日続きしてもええ?」
「‥ぉん‥けど、‥‥また、手‥‥繋いでてくれるか?」
俺は、にっこり笑って頷いた。
「ありがと。‥」
「アカンわ。調子狂うで‥今日はホンマに可愛すぎる。‥‥明日になったらいつもの狂犬になるんやろな。‥‥」
と、笑いながら二人でベッドに潜り込んだ。
手を握ったまんま俺の肩に頭を委ねて眠る顔はまるで‥‥悪がきその者やのに、愛しくて抱き締めてしまう。
「‥藤原ァ‥‥ン‥」
「クスッ、寝言か?‥‥ええ夢見んやで‥おやすみ。」
先に安心して寝てしまった井本をもう一度だけ抱き締めてから俺も眠りについた。
終────。
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