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部屋に入ってテーブルに荷物を置きながら
「適当に座り」と、声をかける。
「お邪魔します。」と、入って来た。
二人で洗面所へ行き、手を洗いウガイをする。
‥ナンや照れくさ‥
余り藤原の顔を見ないようにして、コンタクトを外し、部屋着に着替える。
置いてあった眼鏡にかけかえリビングに戻る。
袋からビールを取り出していた藤原が俺を見てフリーズした。
‥あれッ?どっか変か?‥
顔を指差しながら
「井本‥眼鏡‥‥かけるん?」
「やって眼が疲れんねん」
「‥‥」黙り込む
「おかしいか?
‥呑んだら面倒くさなるやん」
「そやね‥」そう言ってキッチンに入り、
「取り敢えず食べるもんこしらえるわ」
背中を向けてナニやらつくりはじめた。
ソファーに座ったまま背中を眺めて、タバコに火をつけた。俺よりも、ひとまわり‥いや、ふたまわり位大きな身体をしているのに ドコか曲線を帯びていて‥艶めかしい‥
特に他の誰も居ないと、動きが《しなやか》になる。
男の色気とは違う儚い色気
まるで、手を出すと消えてしまいそな‥
‥二人きりやと思うと、
変に意識してまうわ 手は出せんし
蛇の生殺しや‥
キッチンの藤原に
「先にビール飲んでもええ?」
「ええよ 後ちょっとやしー」
鼻唄でも聞こえてきそうな位愉しげな後ろ姿をアテに、ビールを飲み始めた。
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