一人暮らし‥‥2

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涙が頬を伝う。‥ 差し伸べてくれた温かかった手を振り払ってしまった。 いつもと同じこと‥‥ なのに涙が‥ ‥身体が弱って心細なってるだけや‥‥ 布団を被り足を抱き締め丸くなる。 このまま丸くなって‥ ちっちゃくなって‥‥ 消えてしまえたら、楽やのに‥‥‥ 不意にキッチンでビニール袋のカシャカシャした音がする。 寝室のドァが開く音が聞こえて、布団がゆっくりと捲られる。 「ン?‥寝てたん‥‥」 心配そな顔が俺を見つめていた。 指で目元に溜まった涙を拭う。 「泣いてたん?‥‥可愛いなぁ、寂しいんやろ?‥俺、やっぱ傍に居るから。」 布団越しに抱き締められて、そのまま井本の胸に納まる。 「クゥッ‥‥ウゥッ‥」 堪えてた嗚咽が洩れる。 頭を撫でて、髪を梳き頬を重ねる。 「声に出して泣きや‥‥寂しいんやろ?‥ 俺、ずっと兄ちゃんの事見てたから知ってる。 たまに、コンビニとかで見かけてた。‥‥ 俺じゃぁ、アカンか?‥ホンマに傍に居りたいねん。 弱い時に付け入るみたいで嫌やけど‥‥ 今夜だけでも、俺が傍に居るから‥‥」 俺が苦手なタイプ‥人のテリトリーにズカズカ入ってくる。 なのに‥‥ 俺の心に沁みてくる。 傍に居るから‥‥ その言葉がゆっくりと沁みてくる。 一人の方が楽や‥‥ッて、思ってたのに‥ 今は‥‥‥ 「腹減ったやろ?‥俺、料理でけへんから、適当に惣菜買ってきた。 起きれるんやったら一緒に食べよや。‥」 優しく笑うと立ち上がり、キッチンへ行く。 「‥ぁ、あの、‥」 「ン?なんや‥」 「 も‥ちょっと‥ここに‥‥」 「ンッええょ。‥」
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