一人暮らし‥‥2

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ベッドに座り、布団を剥がす。 お姫さま抱っこのように横向きに抱き締められて、胸に顔を埋める。 心臓の音が、トクンッ‥トクンッ‥と重なる。 「‥ありがと‥‥俺、来てくれて嬉しかってん。‥ ホンマはさっき、帰ったと思て‥‥寂しいかってん。」 「クスッ、兄ちゃん‥素直なんも、可愛いな。」 「ンッ‥兄ちゃんッて、止めてや‥‥」 上目使いで、頬を赤らめる。 「じゃぁ、なんて呼ぼか?‥下の名前は‥‥ 教えてや‥」 「‥ンッ‥一裕‥‥」 「俺は、貴史‥‥ 一裕、好きッて、ゆうてもええ?」 段々顔が近づく。 口元を見つめてしまう。 「‥‥貴史‥ええょ‥」 「一裕、好きやょ。‥ 俺が傍に居って守ったるから。 ‥なぁ‥キスしてええ‥‥」 すぐ近くに‥‥重なるか重ならないか寸前に口元に吹き込まれる。 「ンッ、フゥッ‥‥」 返事が吐息に変わる。 「‥一裕、俺と付き合ってや。 ‥絶対に寂しい想いさせへんよ。‥‥嫌か?」 「‥ンッ、いややないけど、まだ好きかわからへん、 ‥でも、離れたないッて、‥‥思てる。」 目を逸らさず微笑むと、貴史も微笑み抱き締める力が優しくなる。 「それでええょ‥ゆっくり俺に惚れてや。一裕から、俺の事好きやッて、ゆわしてみせるから‥‥ 俺に甘えてや。」 「‥ンッ、」 入り込まれて嫌な自分のテリトリーに、スゥーッと入って俺を包み込む。 たった一日の出来事なのに、昔から知ってるような安心感。 そのまま、心臓の鼓動を訊いて眠ってしまった。 「クスッ、子供みたいやな。‥ 起きたら一緒に食べよや。‥おやすみ。」 終─────
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