心の染み

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止めていた煙草を吸い始めたアイツ‥‥ 弱音を吐くわけやなし、発散してしまえる訳やなし、溜め込むだけのアイツ‥‥ こんな時は‥‥    色恋沙汰や‥‥ いつものパターン 好きになっても告白出来ずに‥    ウジウジ‥‥ 上手くいっても、いかんでも‥‥    おんなじ事の繰り返し‥‥ 二人きりの楽屋で何か言いたげに、机に顔を突っ伏して上目遣いで俺を見上げている。 ハァーッ、‥またか、何で俺から聞かなアカンねん‥‥ 「どないしたん?‥最近益々、負のオーラが出とんで。」 ホンマは聞きたない。 アイツの好きなやつの話なんか 「‥‥‥。」 ほらな、返事もせぇへんと下向くやろ。 毎回おんなじや‥‥ 「ええから話してみ、聞いたるから‥」 身体がビクッとなる。 「あのな、俺‥‥ずっと好きなやつおんねん‥」 ほらな、始まった。 今度は誰やねん‥‥ 何で俺じゃ、アカンねん! 顔には出さず、 「ふーん、それで?‥」 「ホンマに好きやねん。‥」 声の調子からいつもと違う事がわかる。 ‥コイツ、本気や。 「‥それで?」何とか声を絞り出す。 「ンッ‥全然気ィついてくれへんねん。 どうしたらええ‥‥ 割と付き合い長いし、昔にこっちからフッた事あるし‥‥」 「元カノかいな。‥」 チラッと顔を見ると、真っ直ぐ俺を見てた。 いつものようにチャラけた感じやなく、真面目に。 だけど、直ぐに目を反らす。 ‥なんやねん。コイツは人の気も知らんと、次から次、毎回よぉぬかすな‥‥
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