しかめっ面

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梅雨の晴れ間‥‥ 「映画観に行かへん?」 普段から誘うことなんか絶対にせぇへん貴ちゃんからお誘いを受けて、意気揚々と待ち合わせ場所に 道路がよく見える喫茶店の窓際で既に待っていてくれた。 ‥‥しかめっ面をして 俺、そんなに待たしてへんやんな。 視力のええ俺は遠くからでもアイツの姿を見つけ出す事が出来る。 まぁ‥惚れた弱味みたいなもんや。貴ちゃんが輝いて見えるし、傍若無人の暴君でも俺には、天使やから‥‥‥ けど、いっつも思とった事やけど‥ 一番最初に俺の顔見るとき、何でしかめっ面なんや? 何がそんなに気に入らんのじゃい!ッて、ゆう位眉根が寄ってんねん。 俺が好きやってゆうた時は、目をしぱしぱさせて、ホンノリ黒いほっぺもピンクになって、‥‥‥ いやぁ~ホンマに可愛かったんや‥ ギュウーッてしてお持ち帰りする位に‥‥ッて、まぁそれは置いといてやな‥‥‥ よぉ考えたらあの日からかな。告白してからや‥ 俺が貴ちゃん見つけて呼び止めたり、後ろから前から声をかけたらしかめっ面するようになったんや。 最初は照れ隠しかなッて、思たんやけど何かちゃうんよ。 ほらな、今日もや‥ 窓の外から手を振ると、しかめっ面をして‥‥ そして、笑うねん ‥なんや今日は特別嬉しそやな‥ 「早かったな、いきなりやったのに。」 「ン、急いで来てん。貴ちゃんに逢いたかったから‥」 「キッショ!」 ほらぁ、笑うと白い歯が綺麗や‥ 「映画まで時間あるし、取り敢えず何か食う?」 「せやな、軽くでええよな。 けど、映画とか、ムッチャ久しぶりやな。」 「おん。」 二人で顔を突き合わせてメニューを見る。 毎日会ってはいてもこうゆう時間が楽しくて仕方がない。
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