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テーブルの所まで来ると、鞄を置き
「なんや、素麺かいな。てっきりご馳走でもあるンかと思とったで。」
足元にじゃれつく犬達の頭を撫で俺の方を見る。
‥たかちゃんが居る。俺に逢いに来たン?ッて、‥
妄想なん?
「俺も風呂に入りたいから、その間に何かアテ作っといてや。」
そうゆうて風呂場に行きかける。
「エッ‥おん。」
その言葉で我にかえり慌てて後を追いかける。
「お湯、はり替えるから‥‥」
「ええよ、あっ、着替え持ってきてや。あと、アイツらにご飯あげたらあかんでぇー。」
「おん‥‥」
訳がわからないまま、けど、頬が緩んだまま、ゆわれた通りにする。
台所に立つと、仲良く犬達がオモチャを取り合っていた。
「火を使うから、アッチで仲良う遊びや。」と、声をかけ冷蔵庫をチェックする。
鰻が有ったので炙り直して半分は鰻巻きにして、胡瓜と若布、しらす干しで少し甘めの酢の物。山芋を短冊に切りオクラを輪切りにして添え、素麺つゆをかける。
後は、一口大のサーモンに焦げ目を入れてチーズを乗せキノコと一緒にホイル焼きにして、準備完了。
ソロソロ、出てくるかな‥‥
ビールを出してテーブルに並べる。
白のスウェットを履いてTシャツ姿のたかちゃんが頭を拭きながら出てくる。
「うわぁ~旨そやな。」
そうゆうてからテーブルの定位置に座り込み俺を指でチョイチョイと隣に呼ぶ。
「ン?‥‥‥ンッ、」
いきなり噛み付く様にキスされて歯が当たり痛みを感じる。
次第にゆっくりと優しく舌を吸われ、口腔を弄られて、‥‥
俺の存在を確かめるかのように‥‥
長い間、抱き締められてた。‥‥
顔を見ると久し振りの優しく切なく揺れる瞳が俺を捉えていた。
「‥一裕、ありがと。淋しいかったやろ?ちゃんと説明するな。」
「ぉん‥たかちゃんに嫌われたと思とった。」
「ちゃうわ、アイツらな入院しててん。忙しかったから体調の変化に気ィついてやられへんかってん。
俺のせいで入院したようなもんや‥
やから、願掛けしてん‥‥」
俺の髪を梳きながら頬にキスをする。
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