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今、目の前には
寂しさを紛らす為に、他の誰かを愛して後悔した、お前が居る。
心は虚しいだけで、なんも満たされへんかったお前が居る。
黙ったまんまで自分の殻に閉じ籠もって、硬く膝を抱えている。
‥今しかないんや。ッて、思った。
「なぁ‥俺らずっと一緒やったな。藤原の落ち込むとこも、何回も見てきた。
俺、藤原無しで‥‥無理やねん。
そんな姿を見たないねん‥‥」
一瞬驚いた顔をしたアイツは直ぐに、自傷気味に笑い、
「ン‥せやな、‥‥仕事に差し支えるな‥‥」
何でそんな風にゆうねん。
お互いに正直になろうや‥‥
お前の心のパスワードはなんやねん!
「そんなんやない‥‥俺がゆいたいのは、」
不思議そな顔で俺を見ている。
「何で‥‥‥涙なん?‥‥」
ゆわれて初めて気づいた。
頬にボロボロと流れ落ちる涙に‥‥
俺は拭いもせずに、ただ、ボヤけた藤原を見つめていた。
「泣かんとってや‥‥井本が泣く理由なんか無いから‥‥‥」
殻の中から少し顔を出した藤原に伝えたかった。
「理由はあるわ!お前も気ぃ付いてるんやろ?‥
何で‥肝心な時に言葉を濁すねん‥
藤原の本当の孤独って、お前の優しさやんか。
俺の為ってゆう優しさはお互いを孤独にすんねん。」
口から勝手に想いが溢れ出す。
それと同時にポロポロと殻が崩れ出す。
「‥井‥本‥‥?」
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