3/4
前へ
/384ページ
次へ
今、目の前には 寂しさを紛らす為に、他の誰かを愛して後悔した、お前が居る。 心は虚しいだけで、なんも満たされへんかったお前が居る。 黙ったまんまで自分の殻に閉じ籠もって、硬く膝を抱えている。 ‥今しかないんや。ッて、思った。 「なぁ‥俺らずっと一緒やったな。藤原の落ち込むとこも、何回も見てきた。 俺、藤原無しで‥‥無理やねん。 そんな姿を見たないねん‥‥」 一瞬驚いた顔をしたアイツは直ぐに、自傷気味に笑い、 「ン‥せやな、‥‥仕事に差し支えるな‥‥」 何でそんな風にゆうねん。 お互いに正直になろうや‥‥ お前の心のパスワードはなんやねん! 「そんなんやない‥‥俺がゆいたいのは、」 不思議そな顔で俺を見ている。 「何で‥‥‥涙なん?‥‥」 ゆわれて初めて気づいた。 頬にボロボロと流れ落ちる涙に‥‥ 俺は拭いもせずに、ただ、ボヤけた藤原を見つめていた。 「泣かんとってや‥‥井本が泣く理由なんか無いから‥‥‥」 殻の中から少し顔を出した藤原に伝えたかった。 「理由はあるわ!お前も気ぃ付いてるんやろ?‥ 何で‥肝心な時に言葉を濁すねん‥ 藤原の本当の孤独って、お前の優しさやんか。 俺の為ってゆう優しさはお互いを孤独にすんねん。」 口から勝手に想いが溢れ出す。 それと同時にポロポロと殻が崩れ出す。 「‥井‥本‥‥?」
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加