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最近気付いた事がある。
俺、藤原から電話もメールも無い。
しかも、あんなけウザイ位にゆうてた、好きやで貴ちゃん‥の言葉も聞いてないやん。
番組が終わった楽屋で、
「‥‥ッて、なぁ、聞ぃとる?」
「‥っ、ン?何を」
「やから、今からロケ、直ぐに出れるように準備せぇや。」
「あっ、‥‥おん‥」
もたもたと準備を始める藤原の背中を見る。
‥やっぱ、おかしいねんな。
舞台上では以前と変わりなくいけてんねん。
それやのに、二人きりやプライベートとなると、俺の事が見えてへんみたいにスルーするねん。
悩み事があるようや無く、かといって体調が悪い訳でもない。
ただ、もぬけの殻やねん。
このままやと俺、藤原と一緒に過ごす時間が無くて‥‥‥
正直‥‥‥‥淋しいねんで‥
移動中のロケバスの中で隣に座って聞いてみる事にした。
────が、中々隣に移動でけへん。
ナニかが邪魔しとる気がする。
仕方なく後部座席から声をかけると、全然聞こえていない。
‥何でやねん!!シカトする気か?
と思ったが、違うようや。
俺の声が届いてないねん。
携帯を取り出し藤原にかけると、何故かかからない。
最近、ずっとそう。電話が繋がらへん時が多いねん。
おかしいやろ。目の前に居るのに何でやねん!
メールを送ってみる。
前で携帯をチェックしている。
座席を倒して、
「ン?井本、何?」
「あぁ、あんな隣に移動してきてや。」
小声で耳打ちする。
───が、俺の後頭部をナニかが突っつく。
いつもの事。藤原の近くに寄ると邪魔しとるナニか‥‥‥
「おかしなやっちゃな‥‥」
と笑いながら俺の隣に移動してくる
フニャフニャの笑顔を俺に向けて、
「珍しな、仕事中に隣に座ってなんて。‥‥」
俺達は打ち合わせをしているかのように手帳を広げて、ボソボソと話を始める。
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