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「周りクドい事は嫌やから単刀直入に聞くけど、‥‥
最近お前やぁ‥おかしいで。」
「ン?そうやろか。」
藤原の顔を見ながら、
「顔色も悪いし、元気が無いってゆうか‥‥
夜は寝れてんか?」
「うーん、‥寝れてるけど疲れがとれへんねん。‥貴ちゃんとのスキンシップ取りすぎかな。」
と笑うが、俺は笑顔が上滑りしてしまう。
何でやねん!最近、二人きりの時間なんて一個も無いやん!
不安が心に広がる。
まるで、水面に落とした墨汁のように黒々と‥‥‥
「藤原‥‥電話もメールもくれんようになったやんか。それに、俺ん家にも全然けぇへんやん‥‥‥
何でなん?‥‥」
俺のゆうた事に驚いた顔をして
「またぁ~、そんな冗談ゆうやろ。昨夜も貴ちゃん一緒やったやん。」
‥嘘やん‥‥‥
「俺、行ってへんで‥‥電話もしたけど‥繋がらへんかったやん‥‥」
声が震える。
俺の声が聞こえていないようにスルーされる。
今までもそう、話が噛み合わんようになると聞こえへんねん。
先程から藤原の右肩に蜃気楼のようにふわふわしたものが揺れている。
無意識に手を伸ばすと
──バチっ!バチバチっ!
ナニかに触れた‥‥‥‥
思わず手を引っ込める。
「なん、それ。夏場やのに静電気か?」
藤原が右側に顔を向ける。
ふわふわしたものが人の顔のように見えた。‥‥
藤原が横を向くと丁度キスする角度に傾く‥‥
嫌やぁ!!キスすんなや!!
「何してんねん!!!」
大声で怒鳴ってしまった。
皆が一斉に振り向く。
バツの悪い俺は
「すんません。‥何もないんで‥‥」と頭を下げて座り直す。
はぁ~、俺何してんねんやろ。
溜め息をついた俺を心配そな藤原が覗きこむ。
「貴ちゃんの方が疲れてんとちゃうか?‥‥今日は貴ちゃん家に行こか?いっつも俺ん家ばっかやし‥‥」
「‥ぉん‥‥ありがと。」
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