71人が本棚に入れています
本棚に追加
やから、俺はお前ん家行ってへんで‥‥とゆう言葉を飲み込んで返事をした。
でも今夜は一緒に居れると思うだけで、少し楽になった気がする。
俺、嫌われたンやろか?
他に付き合ってる奴居んやろか?
ッて、そればっかり毎日考えてたから‥‥‥
やってな、‥藤原から違う匂いすんねん。
それに昨夜も電話繋がらへんかったやん‥‥それやのに、俺と一緒やったッて、‥‥
無意識に藤原を見ると右のナニかの揺らめきが一層大きくなった。
嘲笑うかのように‥‥
ロケも順調に進んで、現地解散してもええッて、事となり俺達は軽く食事をしてから、ビール片手に夕暮れの浜で夕涼みを楽しむ事とした。
幸い明日は、夕方からの仕事のみ。ゆっくりとここで過ごしたとしても差し支えが無い。
小さな港町。1、2ヶ月前にもロケで来た場所。
「なぁ、‥前回、一緒に夕日見て朝日も見れたら幸せやろなって、ゆうててアカンかったやん‥‥その‥貴ちゃん、どっか‥泊まる?」
久しぶりに大きな手に繋がれた俺の右手が少し汗ばむ。
「せやなぁ。‥‥」
俺の返事を聞いて、クシャクシャの笑顔になる。
ビールを飲み干して、夕日を背に歩き始める。
少しゆっくりめに歩く俺に合わせて、手を繋いだまま人の眼も気にせず歩いた。
少し路地を入り段々と町から外れて寂れた場所を藤原には、以前にも訪れた事があるかのように迷いもせず俺を連れて歩く。
様子がおかしいで‥‥藤原の方からあのいつもと違う匂いが漂ってくる。
「なぁ、やっぱ俺帰りたい。‥藤原ん家でも俺ん家でもええから‥‥‥なぁ、帰ろうや。」
「どしたん?泣きそになってンで‥‥直ぐそこやって、貴ちゃん教えてくれたやん。‥」
段々と気分悪ウなってきた。‥‥
俺何もゆうてへンのに‥‥藤原、どないしたんや。
いつものお前やぁ無い。‥‥
藤原の右肩が大きく揺らいだ。
最初のコメントを投稿しよう!