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ベッドに寝転び目を閉じる。
‥アカン、目眩や‥‥天井が回っとる‥‥
身体を横向きに反転しようとしたが、身体が動かない。
‥ン、!?なんやねん。
藤原からした匂いが俺を包み始める。
本能的に警告音が鳴り響く。
‥ヤバい、‥なんかが入ってくる‥‥
ゾワゾワと背筋が粟立ちだつ。
ゼリーの海に身体が沈むような嫌な感じに包まれる。
その時頭の中で声がした。
‥俺がホンマのたかちゃんやねん。やから、抵抗せんとってや。
‥‥ずっと長い間フジワラを待っててん‥‥
待っててもけぇへんから迎えに行ったのに、お前が邪魔しとるねん。
‥やから、身体頂戴。俺、たかちゃんに戻れるねん。
‥‥フジワラを取り戻せるねん。
頭の中で直接聞こえる声と匂い‥‥
‥キッショ!!
「アホぬかせ!貴ちゃんは俺や!俺の身体は誰にもやらん!藤原もや!‥‥
お前は誰じゃぁー!!」
‥俺はたかちゃんやってゆうてるやん。
話してる最中でさえ身体の中にゾワゾワと入り込んでくる。
それと同時に俺が押し出される。
何とか自分の身体にしがみついて切り離され無いように堪えている。
‥止めろや!俺の身体や!!
風呂場から藤原が戻りベッドの上の俺に声をかける。
「貴ちゃん~!お風呂一緒に入る?」
このアホ、何を呑気な事ぬかしとんねん!!
‥‥‥ッて、叫んだ。はずやったのに‥
俺の口からは、
「フジワラ、抱っこ。‥」
そう言って両手を藤原に伸ばす。
‥はぁ~!なんやねん。
藤原は嬉しそにクシャクシャの笑顔で
「えらい、デレモードやな。」と俺を抱き起こす。
‥嘘やん、俺の声聞こえてへんのか?
俺、ここに居るやん。
俺の目の前で俺が藤原にお姫様抱っこで風呂場に連れて行かれる。
‥なっ、なんなん。俺、ここやん。アホ!!聞こえてないんか!ボケっ!ハゲっ!このオカマっ!!
‥‥‥一裕っ!!!
「んっ?貴ちゃん何かゆうた?」
‥聞こえた。そうや、俺はここや!
「何もゆうてへン。‥」
「そっか、じゃ‥」
‥アホ!簡単に騙されんなや!!アホ‥たれ‥‥‥
涙が出てきた。‥けど、今の俺は実体がないねん‥‥
何でやねん‥‥
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