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‥返せや‥‥一裕を返せや‥
‥何で、たかちゃんはあの人事フジワラって呼ぶんや?俺、ここに居るのに。
ふと、目の前の藤原が
「貴ちゃん?何で涙‥‥」
「俺、泣いてへんで。」
「ボロボロ溢れてるやん。‥‥」
俺の身体が俺の気持ちにシンクロしてる。
まだ、繋がってんや。
‥一裕ーー!!!俺はここや!
叫ぶと藤原が目を閉じる。そのまま気配を探している。
「なぁ、フジワラって、何してるんや。」
俺の姿をしたたかちゃんが甘い声をだす。
「ン?貴ちゃんな、今日は俺の知ってる貴ちゃんやない気がすんねんな。何か知らんけど、この辺に俺の貴史が居る気が‥‥」
‥せやっ!一裕。俺はここや!!
「ン、貴史。訊こえてる。‥でも何で後ろから声すんや?‥」
そう言って後ろを向き俺を抱き締めるように手を広げる。
その腕に俺が収まると
‥一裕、俺の身体乗っ取られてン。
「誰にや。‥」
「ちょっ、フジワラって俺ここに居るやん。‥‥」
必死で叫ぶ。
目を閉じたままの藤原が
「じゃかましいー!だぁとれ!」と一喝する。
‥一裕、信じてくれるんか?‥俺が貴史やって
「当たり前やろ。貴史しか俺は信じてないから。せやねん、二人きりやのに一裕って呼んでくれへんから手を出せんかってンやで。‥‥いつもなら、一裕って呼んでからのデレモードやのに‥‥」
‥アホ、そんなんどうでええ。それより 俺の身体が、
「ン、せやな。一先ず俺の身体に入る?」と冗談混じりにゆう。
‥クスッ、そんなん無理や。
「やっと笑たな‥心配せんでもええから、貴史の身体取り返そうな。‥‥貴史、泣きなや。俺が何とかするから‥‥」
実際には頭を撫でられてはいないのだが、そんな安心感が俺を包む。
‥あ、の‥俺のたかちゃんはあの身体の中に?
怖々と俺達に訊いてくる。
「もう一人居るン?」
‥うん。俺の身体の中のたかちゃんの恋人なんやて。ややこしいけど、フジワラってゆうんやて。
「マジ。ややこしいな‥まっ、チャッチャと連れて帰ってもらおか。」
‥せやな。
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