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顔を見るとさっきより陰鬱になっている。
‥まぁ、仕方ないな。今夜はメシも一緒に行かれへんし。
頭を掻きながら、
「お前はホンマに時間の使い方へったやな。」と、言っておいてから指でチョイチョイと呼び、隣に座り直させる。
「よぉ~見ていよ。」
目の前で砂時計をもう一度傾ける。
藤原の頬に手を置き挟む。飛びっきり優しく微笑んでおでこをくっ付ける。
指で鎖骨をなぞってうなじを撫で上げ顎に置く。
「時間が長ても短かても自分のやりたい事したらええねん。‥‥濃い1分間にせぃや‥‥」
そして、丸々1分間の長いキス。
「‥ン、ハッ‥た、かちゃ‥ンっ、‥ヤァっ‥」
「ウッサィ‥‥ンっ、だぁとれ。‥‥」
もう一度深く繰り返す。
サラ‥サラ‥ サラサラ‥‥
砂の落ちる音が聴こえてきそうな時間。‥
横目で見ると砂は最後の一粒。
「‥ン、‥‥チュッ。」
音をたてて離してやる。
頬が紅潮して息が上がっている藤原。
恥ずかしそに、‥それでも愛しいそに俺の瞳を見つめる。
「なっ、時間はこうやって使うもんや。‥‥
長く感じたやろ?」
ニヤッと笑ってやると、
「あっ!アホか!そんなんお前しか出来るか!」
「なんでや?好きな事してええ時間やんけ。‥ルール無用やんか。」
「はぁ~?」
「型に縛られてたら上手い事いかへんやん。‥それに、やりたいようにするための砂時計やん。
せやろ?‥‥」
そう言って、もう一回藤原の為に砂時計をひっくり返した。
終り─────
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