砂時計──1分間

3/3
前へ
/384ページ
次へ
顔を見るとさっきより陰鬱になっている。 ‥まぁ、仕方ないな。今夜はメシも一緒に行かれへんし。 頭を掻きながら、 「お前はホンマに時間の使い方へったやな。」と、言っておいてから指でチョイチョイと呼び、隣に座り直させる。 「よぉ~見ていよ。」 目の前で砂時計をもう一度傾ける。 藤原の頬に手を置き挟む。飛びっきり優しく微笑んでおでこをくっ付ける。 指で鎖骨をなぞってうなじを撫で上げ顎に置く。 「時間が長ても短かても自分のやりたい事したらええねん。‥‥濃い1分間にせぃや‥‥」 そして、丸々1分間の長いキス。 「‥ン、ハッ‥た、かちゃ‥ンっ、‥ヤァっ‥」 「ウッサィ‥‥ンっ、だぁとれ。‥‥」 もう一度深く繰り返す。 サラ‥サラ‥ サラサラ‥‥ 砂の落ちる音が聴こえてきそうな時間。‥ 横目で見ると砂は最後の一粒。 「‥ン、‥‥チュッ。」 音をたてて離してやる。 頬が紅潮して息が上がっている藤原。 恥ずかしそに、‥それでも愛しいそに俺の瞳を見つめる。 「なっ、時間はこうやって使うもんや。‥‥ 長く感じたやろ?」 ニヤッと笑ってやると、 「あっ!アホか!そんなんお前しか出来るか!」 「なんでや?好きな事してええ時間やんけ。‥ルール無用やんか。」 「はぁ~?」 「型に縛られてたら上手い事いかへんやん。‥それに、やりたいようにするための砂時計やん。 せやろ?‥‥」 そう言って、もう一回藤原の為に砂時計をひっくり返した。 終り─────
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加