想い

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アカン‥‥かなり酔いが回ってきたみたいや。 お前の顔が‥   俺の瞳に、優しく映る‥‥‥ その度にお前が微笑む‥ 多分‥‥   いや、きっとお前もおんなじ事を想ってるはずや‥‥   〈好きや〉って告げたくなる。          ‥‥って‥‥ けど、それをゆうたら、お互い哀しみや苦しさに包まれる事を知ってる。 この想いで、お前を哀しみなんかに晒したくない。   今の関係を壊したない 誰にも奪う事の出来へん想い‥‥ 一人の人だけを迷わずに愛せる事は、 ‥きっと、幸せな事なんや。 だから、この想いを忘れてしまう事も、捨ててしまう事も ましてや、無かった事になんかでけへんねん‥‥ なぁ‥‥ 何でお前は、いとも簡単にその想いの重さを知ってンかな‥ その想いの重さを知りたいのは、   ‥‥俺やのに 「お客さん。芸人さんですよね。」 酒をカウンター越しに持ってきた愛想良い店員が話し掛けてくる。 「まぁな‥。」 どちらともなく答える。 「仲、良いッスね。普通プライベートの時は別々なんじゃぁないんですか?」 何気無い質問にアイツは‥‥ 「そんな事ないで、俺らは割と一緒やで。 なぁ‥仲ええもんな。」 そうゆうて俺の肩を揺さぶる様に抱き寄せて戯ける。 それに合わせて俺も笑う。‥‥ ‥‥ちゃうねん。‥   抱き寄せて欲しくないねん‥‥   抱き締めてや‥‥‥ 心が叫んでる‥ いつの間にか酔い潰れたお前がカウンターに突っ伏している。 外は雨が降りだして帰るに帰れない。 ‥やから、もうちょっとお前の傍で‥‥‥ ‥雨がおさまるまで、もうちょっとだけ‥‥‥ 終り‥‥‥‥
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