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目が覚めると俺は、何故か懐かしさを感じる温かな腕の中にも収まっていた。
「ン‥、」
「やっと起きたな。‥腹減ったで。飯にしよや。」
まだ眠気眼の俺の顔を覗き込みニカッと笑う。
「えっ、‥‥ずっと、こうしててくれたンか?‥」
「そやよ。‥ベッドに寝かそとしたら、一裕が俺のシャツ掴んだまんまやし、寝顔が泣きそになるし‥‥
まっ、こんまんまでもかまへんか、って‥‥
けど、腰痛いわ。」
そう言って笑う。
「ごっ‥ごめん。俺‥‥」
「エエって。俺がしたいからした事やん。傍に居るって約束したし。」
そう言って俺の髪を人指し指でなぞる。
「さぁ、飯にしよや。惣菜ばっかやけど食べらな元気にならんで。」
「‥おん。」
俺の手を握って立ち上がり笑う。
‥何で、こんなに嬉しそに笑えるンやろか。
けど、‥‥貴史の笑顔‥‥何かな、安心すんねんな。‥
やっぱり、‥俺、淋しいンやろか‥‥
それとも、‥好きなンやろか‥‥
手を握り返しながらぼんやりと考える。それを見透かしたように
「俺、アカンな。ずっとニヤケてしまうわ。‥‥アホみたいやろ。けど、嬉しいねん。一裕が俺を必要としてるって‥感じられる事が。
俺な、ホンマは随分前から知ってンねん。
‥‥一裕の事。」
話ながら忙しなく惣菜をテーブルに並べる。
「ビールは?って‥アカンな。薬飲んだぁるもんな。」
「‥ぉん。‥‥ありがとな。こんなに用意してくれて。」
「エエって、その代わり今晩は泊めてや。」
‥///‥‥嘘やろ?何でなん。
離れたない‥ってゆうたけど‥まだ、好きかどうか自分自身解らんのに‥‥
もしかしたら、ただ病気で心が弱ってからかも知れんし。
でも‥‥嬉しい‥‥‥‥‥かな?‥‥
唐突な言葉に動揺して顔が紅くなる。
「アカンのか? まさか、こんな時間に追い返したりすんのか?」
その言葉に時計を見ると、もう日が変わっていた。
「‥嘘‥‥こんな時間なん?‥ごっ‥ごめん。俺‥‥」
気が付かなかったとは言え、二時間近くも抱き締められて居たことになる。
たった一言、俺が「も‥ちょっと‥ここに‥‥」ってゆうただけやのに‥‥
‥腰も痛くなるわな。
けど、全然気にしてないようで
「ハハハ、エエって謝らんでも。」
先程から変わらない笑顔で答える。
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