一人暮らし‥3

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何かな、「今日は来ぇへンのか?」ってゆう、その一言が胸に刺さってン。 なんてゆうたらええンやろか。‥‥ あぁ‥‥、俺の知らンとこでいつも見ててくれたンや‥‥ 俺、独りと思てたけど‥‥見てくれてる人が居るんや。 って、思たら‥‥一裕の事が忘れられへン様になってン‥‥ すっげぇ、気になってしもてん。 けど‥よう話かけんかったンや‥。 しゃぁないやん。‥その雰囲気を壊したなかってん。 変な話やけど、いつまでも見てたかってン‥‥ それから、偶にコンビニなんかでちょこちょこ見掛ける様になって‥ 一裕が淋しげにしてる姿なんか見掛けたり、‥‥ でも、俺がいきなり‥声なんかかけたら‥‥ キッショいやろ? やから、偶に逢えた日はめっちゃ、嬉しかってん。 ──────── 「まぁ、今に至るって訳や。‥やから、営業で一裕に逢えたんはホンマにラッキーやったわ。 別に後をつけたわけや無いで。」 そう言って心底嬉しそに笑う。 「ごめん。俺、全然覚えてへん。‥‥ホンマにそれ、俺やったンやろか。‥」 「ぉん。見間違えるわけない。‥ だから一裕が倒れた時、迷わず部屋に上がってン‥‥ ‥‥やって、こんなチャンス二度と無いやろうし。‥」 頭を掻きながら照れくさそうに俺を見る。 「悪かった。‥一裕の気もちも考えんと、俺の気持ちだけ押し付けてしもて。‥‥ やから、ホンマに心配せんでもええで‥俺、帰るしな。」 ‥何でそんな優しい瞳で俺を見れるンや? 俺は、貴史に何もしてやれてないのに‥‥ まだ、‥‥なんにも‥‥‥ 黙って貴史を見る。 「そんな顔しぃなや。‥‥泣きそに見えるやん。」 言いながら傍にきて俺の頭を抱き寄せて優しく撫でる。 ‥ア、アカン‥‥何でや。涙が‥‥ 俺、貴史の事思い出せん事を悔やんでる‥ンや‥‥それに、やっぱり‥‥ ‥‥‥‥離れたない。 傍に、‥‥居ってて欲しい。 「一裕、泣きなや。‥‥笑てや。俺、お前のくしゃくしゃの笑顔が好きやねん。」 情けない声が耳を掠める。 顔をあげると、貴史の淋しげな笑顔があった。その自傷気味の瞳を見て‥‥ 俺の記憶の切れ端がパズルの様に組合わさった。 まるで、俺の心に一陣の風が吹き抜けて全てを露にしたように‥‥ はっきりと思い出した‥
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