一人暮らし‥3

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‥俺、思い出した‥‥知ってる。‥‥憶えてる‥‥ この瞳を‥‥‥‥ ‥そうや、あの時の‥‥ 「なぁ、それって冬の事やんな。‥‥去年の」 瞳を見つめたまま訊ねる。 「あぁ、‥そこのコンビニの裏の公園や。」 「俺、今、思い出した‥あの時、仕事に行き詰まってて息抜きに夜散歩してたんや。」 俺は思い出しながら言葉を続ける。 「毎晩の様に公園へ行って貴史が猫と戯れてたンを見てた。‥‥すごい、嬉しそに、‥楽しそに笑ってた。‥‥ やから、俺、嫌な事全部忘れられた。 俺、お前と猫が一緒に居るとこ見るのが‥‥幸せそに笑ってるのをみるが‥‥日課になってたんや。‥‥」 貴史が嬉しそに笑い返すのを見て、俺は話を続ける。 「お前と猫がおんなじ瞳をしてた。‥瞳を細めて、‥‥愛しそうに‥‥。 俺、‥それを見て、俺、‥‥」 そこまで言って言葉に詰まる。 ‥俺はずっと貴史の瞳に囚われてたンや。 懐かしさを感じるンはそのせいや。‥ ‥‥俺、‥‥ 今朝逢ったばっかりやのに、離れたないって思ったンは‥‥ 逢えン様になるんが嫌やって思ったンは‥‥ ‥‥俺が貴史の事を‥‥‥‥ 黙り込んでしまった俺に、優しく笑い掛けながら、 「ほらな、やっぱり一裕やったやろ。」 と、心底嬉しそに笑う。 「俺なあん時‥‥‥お前に‥一裕に一目惚れしたんや。嘘や無いで。俺はあの一言で、お前が、誰でもない俺を待っててくれてる。って‥‥‥ 嬉しかってん。‥‥ホンマに‥‥」 そして、俺の頬を優しく包み込む様に手をやり、もう一度しっかりと瞳を見つめなおす。 「‥た、貴史‥‥俺な、そんな風にゆうてくれて嬉しいねん‥‥けど、‥そのな、‥‥」 言葉を探しながら伝えようと口を開いた。 「ええねん‥‥勝手に想ってただけや。 男が男を好きになるやなんて認めた無いわな。‥ まぁ‥‥キッショい話や‥‥」 「ちゃ!‥ちゃうねん。‥‥そんなんや無い。キッショいなんて一度も思った事無い。 ただな、今日初めて話をしたやん。‥‥ 俺、‥お前の事なんも知らんやん。‥‥ それやのに、‥‥俺、‥‥貴史の事を‥‥ ‥‥貴史と、離れたないって‥‥想ってンねん。‥ 何でやろか?‥‥貴史が帰るのが怖いねん‥ もう、二度と逢えんかったらと想うと‥‥涙が出るねん‥‥ 何でや。‥‥教えてや‥‥‥」 頬を涙がつたって貴史の手を濡らす。
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