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それに気付かないまま俺は考え込んでしまった。
‥まさか‥‥たかちゃんの事気ィ付いてンやろか‥
「なぁ、‥‥あのな、‥ン‥まっええわ、食べてから話しよや。‥」
そう言って俺の肩をポンっと叩きテーブルにつく。
‥そっか、コイツずっとゆうとったな。‥
話したい って‥‥
不安を隠す様にわざと明るく、
「ビール位飲む?」
「‥いや、ええわ。」
「なら、俺も今日は止めとこ。」
「かまへんから気にせんと飲みィな。」
「ン‥でもええ‥たまには休肝日があってもええやろ。」
そう言って笑う俺を黙って見据える。
沈黙の中アイツから先に、「頂きます。」と食べだす。
「しかし、相変わらず、すげぇな。‥ 段々料理の腕上がってないか?」
心底、嬉しそに笑って俺の料理を褒める。
‥俺、コイツのこの顔好きやわ。‥何でか、たかちゃんの笑顔と重なるし‥‥
ムッチャ、可愛ええよな。‥‥
俺の目の前で、旨っ!と食べるアイツの笑顔が可愛いくて、つい「仰山、食べるンやで。」と、頭を撫でてしまう。
それに対して悪態も吐かず「ぉん‥‥」と、白い歯を見せてニカッと笑う。
‥かっ‥可愛えぇー!まるで、天使やぁー!‥‥
俺は暫くアイツに釘付けになっていた。
「なぁ、食べへんのか?折角の旨い料理冷めてしまうで。」と、俺の皿の鰻巻きまでつまみにくる。
「ぁー!人のを食うなや。」
「ボンヤリしているンが悪いンやろ。」
‥何か変や。さっきと違って柔らかい感じが
けど、空元気のような気もするし‥‥
食事が終わり一服しているアイツに
「何か飲む?」
「ン?せやな、温かいお茶煎れてくれるか。」
焙じ茶を煎れて置くと、「ありがと。」と受けとり、湯飲みに映った自分を覗き込む。
長い沈黙に耐えきれず俺から話を切り出してしまう。
「なぁ、‥‥話って何やねん。‥」
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