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暫く黙ったままのアイツが口を開く。 「ン‥単純な話や。‥‥お前な、最近俺の事 たかちゃん って呼ばへんでな。‥‥ いっつも二人きりの時は呼んでくれたやん‥‥ なぁ、‥‥何でなんや‥‥‥」 切な気に俺に問う。 ‥井本が弱気になってる‥‥どうしょ‥正直に全部ゆうた方がええンやろか‥‥ 黙り込んだ俺を一瞥して話を続ける。 「まぁええわ。‥‥けど、理由があんやろ?‥ 俺にゆわれへんような理由が‥‥」 「‥‥」 何てゆうてええンかわからず、俯いてしまう。 「‥はっきりゆうてくれたらええで‥‥俺、‥お前の飯食えたから‥‥もう思い残す事無いから‥‥ ゆうてや‥‥俺やったら大丈夫やで。 まっ、2、3日は引き摺るかも知れんけど、‥‥」 「‥何の事ゆうてンや‥‥」 「もう、誤魔化さんでもええから‥‥ お前‥‥ ‥‥‥‥好きな奴‥‥‥出来たンやろ‥‥ ええよ、‥別れても‥‥‥かまへ‥‥ん‥‥」 今にも流れ落ちそな涙を堪えて微笑む。 「ちゃう! そんな奴なんか居らへん!‥‥何でそんな事ゆうンや‥‥」 傍に行き肩を抱き寄せる。 そのまま俺の肩に頭を預けるが‥‥ 「‥これが、最後になるんやな‥‥」と呟く。 「アホっ!ちゃうから‥俺は他に好きな奴なんか‥‥」 否定しながらも言葉に詰まる。 「隠さんでもええから‥‥いいた無いンやったらゆわんでもええから‥‥ けど、‥今夜だけ‥今夜だけは傍に居らせてや‥‥ もうここには‥‥‥けぇへんから。」 井本の口からは余りにも情けない言葉が出てくる。 「信じてや‥‥俺にはお前しかおらへンねんで、‥‥井本しか居らへんねん。」 その言葉に、フッと自傷気味に笑い、 「なぁ、‥最後やから‥‥抱き寄せンと、抱き締めてや。‥‥ 今までみたいに‥‥‥ アカンか‥‥前の様に‥‥‥最後に たかちゃん‥‥って呼んでや‥‥」 俺の肩に頭を預けたまま顔を上げると、涙が頬をツゥーっとつたう。 その涙を思わずキスで拭いきつく抱き締める。 ‥全部正直にゆぉう、‥わかってもらわれへんかっても‥‥別れてしまうよりもええ‥‥
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