熱帯夜

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アイツの後ろ姿に声をかける。 「用意出来たで。‥」 「ン?‥」と、返事をして振り返るアイツの首筋に汗が伝う。 それがいやに、エロく見えて‥‥ 思わず、ゴクリッと訊こえる程の生唾をのんでしまう。 それを訊いて、 「ハァー? お前何を盛ってンねん。」と、頭を小突かれた。 アイツはベランダの窓を閉めるのに俺に背を向けた瞬間‥‥後ろから抱き締めていた。 「暑っいわ!!ボケっ! 離れろや。」 そう言っている間にも汗は首筋に伝っいる。 「いやや‥‥‥ンっ‥」 うなじから耳までゆっくりと舐めあげていく。そして、耳朶を唇で挟む様に咬む。 「‥ンっ、ハァ‥‥アッ、ンっ‥や‥めろ‥やァ‥」 「‥いやや‥‥」 もう一度答えて唇を塞ぐが‥‥‥ 俺が仕掛けた筈なのに、 何故か‥‥ 俺が組伏せられて‥‥ 「‥ァ‥ンっふ‥‥い、のも‥‥とぉ‥‥ヤっ‥アッ、ン‥‥ごめん‥‥ハッフ‥んンっ‥」 「クスッ、‥何や謝っても仕方ない事やで‥‥ン?‥お前が 悪いンやろ? ‥俺に仕掛けてくるから‥‥ ちゃうんか?‥‥ほらァ‥ゆうてみ。」 そう言いながらも相変わらず俺の弱いとこの攻めかたは執拗で、俺から理性を奪っていく。 返事も儘ならない位翻弄されて、‥‥ 俺は熱帯の様な部屋で汗ばんでゆく。 「‥やっ、‥た、‥かふみ‥‥ンっン。」 「何や‥‥ゆうてみィや‥どうして欲しいンや?‥」 我慢出来ないことを知っていて意地悪く訊いてくるが‥‥俺からは決して目を離さず俺の一挙一動を見ている。 「ァ‥あァ‥ンっ‥」 「クスッ、‥喋られへんのか?‥‥ ほらっ‥‥ンっ‥」 「‥えっ?‥ンっアハッ、‥‥ァ‥かん。‥アカン‥って」 「ソッかぁ‥‥アカンの? しゃぁないなぁ、‥やめよか。」 そうゆうて俺から離れようとする。 「ややぁ、‥‥」 手が離れる寸前に掴んで引き留めようとするが、力が入らずアイツの手は俺の手をすり抜ける。 クスッ、と笑い俺に背を向けた。 俺は息を整えながら、恥ずかしさを感じる事も無く、ただ、触れて欲しいだけでアイツに懇願する。
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