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嬉しそに俺に抱き付きながら、
「かじゅくんとおつきしゃん、どっちのほうがきれいかなぁ。」
「///‥たっ、‥たかちゃん。」
俺は言葉に詰まり後が続かない。
そんな俺にお構いなしで膝に座る。
芒と萩の花を見つけて、
「おはな、かじゃるン?」と、小首を傾げる。
「せやよ。‥お月さまに見てもらうねん。‥後、お団子もな。」
「ややぁ。おだんごはたかちゃんの。」
お皿に盛ったお団子を抱き締める。
「クスクス、ええよ。後で一緒に食べよな。‥先にお月さまに見てもらうな。」
「ぅん!」
‥ハハハ、返事は可愛いな。‥けどな、窓に貼り付いててもまだお月さまでてへんで。
その様子を見て俺はたかちゃん用に買い置きしてあるスポロンを冷蔵庫から取り出す。
「かじゅくん、おつきしゃんでできたで。」
呼ばれて傍にいくと、真ん丸のお月さまが顔を出していた。
「綺麗やな。」
「ぅん、ピカピカやな。‥
なぁ、おつきしゃんにはうしゃぎしゃんおるんやで。」
「ウ~ン、‥せやなぁ、居るかもしれんな。」
なるべく夢を壊さない様に言葉を濁す。
「あのな、ホンマにおるんやで。」真剣な顔でゆうので、思わず聞き返してしまう。
「そうなん?」
「ぅん、やってな、さむくなったらゆきふるやろ?」
「降るなぁ。」
「あれはな、しゃむいからなうしゃぎしゃんのてがジョワジョワァってなってな‥」
‥一生懸命話してんのはわかるけど、ジョワジョワァってなんやねん。
「手がかじかむンか?」
「そぉ。うしゃぎしゃんな、おもちをちゅくやろ?そのおもちな、かじゅかんでうまくおもちをちゅかまれへんねん。
やから、バラバラっておちてくるんやで。」
俺の目の前で力説するたかちゃんの口調が段段と舌足らずになってくる。
「クスクス、そうやったんや。それで雪は白いんやな。‥‥たかちゃん、物知りやなぁ。」と、頭をポンポンと撫でると、得意満面で笑う。
「かじゅくん。‥うしゃぎしゃんのうた、うたって。」
「えっ?‥かまへんよ。‥
うーさぎ、うさぎ。何見て跳ねる。十五夜お月さま、見て跳ーねる。」
俺の歌に合わせてまるでお遊戯の様に兎の真似をして跳び跳ねる。
‥普段の井本じゃぁ想像でけへん位、‥‥‥
かわゆいッス。‥ぁ~!ムービーで録っとけば良かったぁ~!‥
「かじゅくん、上手やなぁ。ぼくな、かじゅくんの声‥‥ムッチャすきやねん。」と、ニカッと笑う。まるで井本が俺にゆうのと同じように。
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