一人暮らし‥‥4

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まだ‥‥夜が明けない真っ暗な朝早くアイツが起き上がり、まだ微睡みのなかで揺れている俺の横で着替え始めるのを、‥何か不思議な想いで‥‥まるで、‥映画を見ているかの様に虚ろに眺めた。 知り合ってからもう2ヶ月は過ぎたのに、まだ俺はハッキリと貴史に意思表示が出来ていない。 ‥そう、まだ‥‥ 貴史はあれから何かにつけて週に最低二、三回はやって来ては泊まる。 ‥別に約束なんかしてへんのにな‥‥ ただ夕方に訪れて、     一緒に食事して、 TVやDVDなんか観て、     他愛もない話をして、 風呂に入って、 そして、‥‥ ‥‥ただ、一緒に眠るだけ。 ただそれだけの事。 友達でもなく、恋人でもなく。     ましてや、‥セフレでもない。 ‥でも、コイツは俺の部屋にやって来ては嬉しそな顔で笑って過ごす。 約束なんかしてへんのにな‥‥ 俺の視線に気付いたアイツが傍にきて 「まだ‥寝ててもええんやで。 ごめんな。起こしてしもて。‥」 そう言いながら髪を手櫛で梳く。 心地よい感触に眼を細めて 「ううん、‥大丈夫や。‥貴史、今朝はいつもより早いんやな。」 「‥まぁな。」 「朝飯作ろか?」と起き上がりかけた俺をヤンワリと制して 「ええよ。‥どっかでモーニングでも食うし‥‥」 何故か歯切れが悪く聴こえる。‥ 「‥そう、‥‥」 俺は不満気に応える 「ごめんな。‥一度部屋に戻らなアカンから‥‥」 曖昧な返事と、気間づい雰囲気を漂わせて 「今夜来てもエエか?‥」 「かまへんよ。‥」 珍しく約束をして、俺と視線を合わす事なく背を向けて出ていった。 ‥まぁ、正しくは‥‥家に帰って行ったんや。‥ 俺の知らん所に‥‥‥ 部屋には、気間づい雰囲気と不信感‥‥そして、原因の解らない濁った感情が漂う。 ‥そう言えば俺、アイツの事何も知らんし。 住んでる所も人間関係も、 一人暮らしなんか、彼女居るんか、‥ 全然知らんし。‥‥‥ ぼんやりと、一度ちゃんと聞かなアカンな。‥ 思わぬ時間に眼が冴えてしまったもんだから、二度寝は出来なかった。 起き上がって部屋を見回すと、否が応でもアイツの身の回り品が目に留まる。 それほど俺の生活に馴染んでいるってゆう事なんだろう。 珈琲を淹れパソコンを立ち上げる。メールをチェックして今日1日の段取りを考える。 ‥そやな、急ぎのは昨夜仕上げたし、今日は特にってのはないなぁ‥‥朝から真面目にしたら昼で終了や。‥
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