一人暮らし‥‥4

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先程の光景がフラッシュバックする。 ‥綺麗な人やったな。‥‥あんなけ綺麗やのに、ズルい。‥‥他にもっと相手いるやん、‥何であいつなン? 自分でも知らなかったどす黒い想いが頭をもたげる。 はぁー。と、大きくため息をついて、食事の仕度を続ける。 茶碗蒸しの用意をして南瓜を煮る。蓮根は海老と天婦羅に‥‥ 「ホンマに今夜約束したンやよな。‥‥夢とちゃうよな‥‥」 一人言を呟くと、情けなくなり涙が零れ落ち、自分の気持ちに気付く。 「‥俺、‥貴史の事‥‥好きなんや。‥‥嫉妬するくらい‥‥すごく。」 気持ちを口にすると涙が溢れて止まらなくなる。 「‥そうや、俺、‥‥アイツが家にきた時から‥‥ ううん、‥初めて公園でみた時から‥‥ずっと、 アホや、‥‥俺、ずっと気ィ付かへんふりしてたんや‥‥」 ‥俺、アイツの優しさに甘えてたんや。返事もせんと勿体つけて。‥ 嫌われたんや、‥多分‥‥朝も目合わせてくれへんかったし。‥‥ それか飽きられたんかな。‥ 自分勝手な俺に‥ ホンマにアホや、‥そんな簡単な事にも気ィ付かへんで、泊まりに来てくれるだけで浮かれて、‥‥ 時間を忘れて台所の隅で泣き崩れた。 ガチャっ。‥ドアがあき「ただいま。‥」と、アイツがやって来た。 「一裕?‥居らへんの?‥おかしいな、真っ暗やん。」 パチッ。‥灯りが灯り涙でくしゃくしゃの俺に気付く。 「ど‥‥どないしたん。」 酷く驚き傍にやって来る。 「指、血ィ出てるやん。‥何したン?」 心配しながらも俺を立ち上がらせて指を洗い絆創膏をはる。 「‥貴史。」 「ン?‥気ィ付けなアカンで。」 手当てして立ち上がりコートをいつもの場所にかける。 「風呂まだ用意してへんみたいやから、俺洗ろてくるな。」 声をかけられて我にかえる。 「あっ、俺がするよ。」 「ええってこんなこと 位、手伝わしてや。」 と、笑って風呂場に消える。 ‥いつもと変わらへん‥けど、 アイツの身体から仄かに女の人の香りがするような気がする。 ‥だから、早ょ風呂に入りたいんか?‥ と、どす黒い感情が滲み出てくる。 本当なら‥‥いつもやと気にならへんのやろうけど、夕方にアレを見てしまうと まるで、‥‥浮気の証拠を捜すようで、‥ 気を取り直して夕食の仕度に取り掛かる。テーブルを片付けていると、アイツはいつもと同じ様に 「ビール買ってくんで。」 そうゆうて近くのコンビニに出掛けて行った。
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