一人暮らし‥‥4

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携帯をテーブルに置いたまんま‥‥ まっ、それはいつもの事なんやけど‥ 料理を並べていると、着信音が鳴り響く。 メールのようだ。‥ 別に見るつもりは無いが視界に画面に映った相手の名前が入る。 暫く画面に釘付けになった。‥ ‥‥女の人の名前‥‥ ‥夕方の人やろか。今朝から様子がおかしかったし‥‥ 別れ話かな‥‥‥って、別に付き合って無いけど‥‥ ガチャっ。 「今晩はビールやなくチューハイこうてきたで。オレンジやろレモン、パイン、色々とあんで。」 と、袋から並べて「どれにする。」と、訊ねる。 「‥ん。今晩はいらへん。‥」 「何で?」 「‥‥」 「調子悪いンか?さっきも‥‥もしかして泣いてたンとちゃうん? 何かあったんか?」 俺の頬に手を当て訊ねる。その手を振りほどいて 「‥ほっといてや。」 そんな言葉しか出てこない。 「機嫌‥‥悪いンか?‥もしかして‥‥俺、一裕のとこくんの迷惑か?‥ ごめん、全然気ィ付かんで。‥ 俺、お前と居るンが嬉しくて、‥ごめんな。 お前の都合なんか考えてなかった、‥かも、‥‥」 俺に頭を下げて謝るアイツを見て ‥そんなんやないんや、‥ と、心の中で弁解をして ‥ちゃうねん、ただ俺の嫌な‥汚い感情やねん。 貴史は何も悪ないんや。 そんな俺にアイツはなにも言わず頬から手を離す。 暫く黙ったまま淋し気に俺を見つめていたが、携帯の着信に気が付き、 「外で、かけてくる。」 そうゆうて出ていった。 俺はテーブルに並んだ料理を見て、 ‥ははは、これが最後の晩餐‥ってとこかな。‥ 洒落にもならんな。‥ 椅子の上で膝を抱えて涙を堪えた。 「あ゙ーもう、ウザいねんて。うっさい!‥ わかったって、明日行くから。‥‥うん、あぁ じゃぁ。‥‥」 外から声が聞こえる。 ガチャっ。 「ごめん、‥ちょっと急用やったみたいやったから。」 何か弁解のように聞こえる。 「ふーん。‥」 俺はわざと気の無い返事をした。 席につきながら 「‥なんか‥‥俺に対して怒ってる、‥よな。」 「別に、‥‥」 「なぁ、‥ゆうてや。俺、アホやからわからへん。‥俺、お前の泣き顔見たないねん。‥‥」 「‥‥ええよ、‥お前は悪ないんや。‥ ただ、俺の気持ちの問題や。‥」 「それやったら、余計に気になるって。」 椅子の上で膝を抱えてままの俺の傍にやって来る。 手元の携帯が否が応にも目に入る。
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