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「ン?もしかして、さっきの電話が気になってンか?」
図星をつかれてソッポを向く。
「‥ごめん、気にせんとって。ちょっとしたもめ事や。‥‥」
「‥‥」
俺の前に膝まつき唇をなぞる。
「咬んだらアカン‥‥って。」
そう言われてますます力が入り血が滲む。
「血ィ出てるやん。‥」
言いながら顔が近づく。俺は両手でアイツを遮り、‥
「何すんねん。‥お、お前には彼女が居るンやろが。‥‥優しくすんなや!!‥‥かっ、勘違いして‥しまう、やん。‥」
やっぱり俯いてしまうが、それが貴史には小さな子供が拗ねているよう見え可愛く思えた。
「勘違い‥‥って。」
「‥‥」
「俺、‥彼女なんか居らへんで。」
その言葉に弾かれた様に、
「嘘つくな!‥‥今日かって、‥ 」
「‥?」
「おっ、‥‥俺見たねん。‥お前、一緒に暮らしてるンやろ‥‥。」
「?!‥。なっ、何!!居らへんって。」
「やって‥‥」
俺は夕方に見た事を話すると、アイツは笑って小さな声で‥‥「アホやな‥‥」と、呟いた。
そして、俺の頭を撫で愛おしそに微笑み、
「あのな、‥あの人は大家さんや。今、住んでるとこの更新ちかいねん。それで‥‥なぁ、‥俺、ここに‥‥いや、ええ。‥」
「ホンマに?‥その人とは何もないん?‥」
「あぁ、当たり前やん。ずっとゆうてるやん。俺、お前に一目惚れしたって‥‥。嘘とちゃうで。
なぁ、‥もしかして、‥ 妬きもち妬いてくれたン?‥」
「///‥ちゃうし。」
クスッと笑い、
「まぁええ。‥さっきの電話も大家さんやから心配せんでもええよ。」
膝に手を置き、
「なぁ、‥ここに転がりこんでもええかな。‥」
「?!‥」
「いや、‥その‥まだ、返事もろてないけど‥‥あのな、一緒にな‥暮らしたいねん。アカンか?」
「‥‥その‥返事ってゆうか、俺気ィ付いてン。
お前と離れたないって思てる理由が‥‥。
でもそれをゆうてしもたら、‥アカンねん。」
「何で?ゆうてや。訊きたい。」
「やってゆうてしもたら‥‥お前、傍に居ってくれへん様になるンやろ‥
解るまで傍に居るってゆうてくれたから‥‥
やから、解ってしもたら‥‥お前は、‥お前は俺から離れてしまう。‥
やから、‥俺‥俺‥‥。」
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