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俺の髪手を差し入れ優しく撫で、
「アホやな‥ホンマにアホやな‥ちゃうやろ‥。俺は離れるなんて一言もゆうてへんやんか。‥なっ。」
クスッと笑い優しい笑顔が浮かぶ。
「‥ホンマに?‥‥あのな俺‥お前の事、もっと知りたいねん。
変な話やけど‥‥今日な‥買い物してて気ィ付いてン。
好きな食べ物とか音楽、全然知らんねん。‥」
「そっかぁ、俺何も話してなかったな。」
すまなさそうに頭を掻く。
「ぅん、‥けど俺、お前の事‥‥‥すっ、‥好きやねん。‥何でかわからんけど‥‥お前の事考えたり、部屋に来てくれたりすんのが‥‥嬉しいねん。‥ごめん。‥」
「何で謝るン?俺、今、ムッチャ嬉しいで。‥やっと一裕の口からその言葉聞けたンやから、‥‥
ずっと待ってたんやで。‥俺も好きや。‥毎回ゆうてるけど‥‥」
ゆっくりと俺を抱き締めてくれた。
いつもよりも、アイツの優しさが心の奥に沁みた。
「なぁ、‥一緒に住んでもええかな?‥ 」
「‥///、ぅん。‥」
「じゃぁ、俺アパートの更新せえへんで。
これからはいつも一緒に居れるな。」
「‥えっ、‥ぅん。」
「毎日旨い飯食えるし、可愛いお前と‥‥
ウッワァー、考えただけで‥‥
何これ、ムッチャ幸せやんか。」
「ははは、‥大袈裟やなぁ。」
俺は抱き締められたまま、アイツの温もりだけを感じていた。
〈一陽来復〉
一年で一番運気の下がる日。
‥まぁ、一番最低の日やけど‥これからは上向きになる日。
俺も今日から幸せになる日、‥‥貴史と一緒に。
もう一人暮らしは終わり。
明日からは、二人暮らしの始まり。
なぁ、‥ありがと。俺、お前と出逢えて幸せや。
俺もや。‥やっとお前を抱き締められる。‥
─終わり。
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