one-side Love

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ネガティブな考えばかりが頭を回る。 ‥でもまぁ、その方が楽かもな。 前に、‥‥アイツと出逢う前に戻るだけやしな。 ふて寝を決め込んだ頃なあ玄関のチャイムが鳴る。 ‥うっといから、無視や。 ピンポーン!ピンポンピンポン!! 忙しなくひっきりなしに鳴り響く。 仕方なく、‥何やねんと、‥思いつつ玄関を開ける。 「どないしたん?」と、アイツが立っていた。 俺は、「お前こそ、‥どうしたン?」 「ちゃうやんか。お前が早退したって聞いたから‥」 息急き切ったアイツが訊いてくる。 「やっぱ、体調悪かったんやろ。」と、心配気に訊いてくる。 ‥そんな優しい事ゆうなや。‥‥誤解してしまうやん。‥ 俯き加減の俺をほって、アイツはとっとと勝手に部屋に行く。 漫画を読み始めたアイツに呆れた様に、 「何の用なん?」と、訊ねる。 「特に無い。‥けど、お前居らんかったらおもんないから俺も早退した。」と、笑うから 「何やねんな、その理由。」と、俺も笑う。 「やってそうやんか。昼間話してた時かって知らん内に居らんようになってしまうしや、‥‥ホンマに心配したんやで。」 「アホな事ゆうなや。彼女来たから気ぃ利かせたんやろが。」 「ハァー?アノなちゃうねん、‥」 言い訳を遮り、 「ええって、‥解っとるから。‥」と、笑うと小さい声で諦めた様に「ホンマにちゃうねん。‥」と、呟く。 それからは何事もなかったかの様に他愛も無い話をして、‥‥話題にもつきた頃‥‥ 「なぁ、‥‥明日バレンタインやな。」 「そやなぁ。‥お前はまた、仰山もらうんやろな。‥」 「いや、今年は誰からも受け取らへんつもりや。‥」 予想もしなかった言葉に、 「‥何でなん?」 「やって、‥‥ホンマに欲しい奴が居るから。‥」 「‥マジか、‥‥好きな子おんねんや。‥ああ、昼間の子やな。」 辛うじて動揺を隠し茶化すと、 「ちゃうねん。‥‥」 真っ直ぐに俺を見ていた瞳が哀しげに揺れた気がした。 「‥なぁ、藤原。‥ゴメンから始まる恋、‥‥って解るか?」 「えっ、‥解らへん。」 「‥そっかぁ、解らへんかぁ、‥‥なら、しゃあないなぁ。‥」 「ハァー?ホンマに可笑しなやっちゃな。‥もしかして、別に好きな子居るン?」 ドキドキしながら聞いてみた。 「‥‥ン?‥‥まぁな。‥けど、アカンねん。‥‥ ゴメンから始まる恋やから‥‥」
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