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そう話しながら、泣いていた。俺も知らず知らずの内に涙が流れた。
抱き締められて頬を重ねているせいで、どちらの涙が零れているのかわからない。‥‥
「‥井本、‥‥ゴメン、俺、‥‥」
言葉に詰まる。‥
その言葉を聞いた途端に俺を抱き締めるのを止め、俺を真正面に見据える。
「‥ゆわんとってや。‥ええねん。俺の勝手な想いやから。‥‥
‥ただ、伝えたかっただけやから。
でもな、‥無理かも知れんけど、‥今まで通り、‥‥友達で居ってや。‥‥なっ。」
涙を拭いもせず優しく笑う。
「ちゃうねん!‥‥その、‥俺のやねん。‥
あのチョコも‥‥メッセージカードも‥‥
全部、‥俺やねん。
ゴメン、‥俺もゴメン。好きになってしもて。‥‥
でも、‥友達なんか嫌や。
俺もずっと思てた。‥‥このままやとアカンって‥‥やから、‥‥チョコ渡して伝えようって‥
けど、‥よう渡さんかった。‥‥
怖かってん‥‥お前を失うのが、‥
ゴメン、‥‥好きや。‥お前を想うと泣けてくる位、‥
苦しいねん。‥‥」
今度は俺から抱き締めた。アイツはそっと俺の背中に腕をまわし抱き締め返してくれた。
‥好きになってゴメンやなんて、もうゆわんとってや。俺、今嬉しいねん。
‥あぁ、もうゆわんよ。やから、お前もゆうなや。俺かて、今嬉しいねんで。
───終り。
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