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俺は膝の上のアイツの顔を窺う。
「‥かも、‥しれん。‥‥なぁ、お前は‥‥その‥‥なんや、‥‥どっちの方の事が‥‥‥ええわ、また今度で。‥」
「なんやねんな。歯切れ悪いな。」
「ハハハ、‥‥何て事ない。‥多分、‥妬き持ちや。
その子にお前を獲られそうな気がして、‥‥」
余りの想像もしてなかった言葉に驚き間の抜けた声が出る。
「はぁ?何でやねん。」
「やって‥‥」と口を尖らせて噤む。
俺は少しきついめに抱き締め直しながら
「アホやな、‥そんな訳ないやろ?どっちもお前なんやから。‥」
「せやけど、お前のこの子に対する想い‥‥ってゆうんか‥‥その‥‥あったかい気持ちが流れて来て、‥俺のここに刺さるんや。‥‥」
少し淋し気に胸に拳をあてる。
「そっかぁ、‥‥けどなホンマにどっちもお前なんやで。‥なっ、‥」
「解っとるねん。‥頭じゃぁ理解してんねん。‥
けどな、心がな‥‥‥」
そうゆうて俺の胸に頭を埋める。
少しの間髪を梳きながらつむじにキスをする。
「なぁ、‥‥撮ったV観る。」
「‥‥あぁ、そやな。」
二人してセットしたカメラをチェックする。
すると、みるみる内にアイツの顔が紅く染まる。
「なっ!!!‥‥何なんなぁ!コイツは‥‥」
‥ってゆわれてもなぁ。お前本人なんやけど‥‥
画面では兎林檎をリスのようにシャリシャリと食べてからも子供の様な大人が映っている。
一通り観を終えると、アイツは大きく溜め息をついて頭を抱えた。
「なんやねんコイツは‥‥度が過ぎるで。‥‥想像以上や。‥ちびまる子ちゃんでゆうたら〈あたしゃ、トホホだよ〉やんかぁ!」
「何で?可愛いやんか。」
そうゆうと、いきなりアイツは残ってあった林檎を取り同じ食べ方をして見せる。
「これのどこが可愛いねん。」
俺は笑いを必死に堪えて
「可愛いやん。もう、抱き締めてしまうで。」
「アホか、死ね!」
一喝されてしまう。が‥少し紅い顔で
「まぁ、ええわ。‥けどな、いつもこんな感じなんか?」
「ぅん、‥今回は風呂無しやったけどな。」
「ン? 毎回入っとんかい。」
「まぁその‥‥ちょくちょく服汚すしな。」
「フーン。‥‥まぁええ、けど何やこいつも俺と張り合ってる気がすんな。」
眉間に深い縦皺が入る。
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