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いよいよ本番や。‥
‥はぁー。
横目でアイツを見ると気合いを入れている。
その横顔をみて
‥俺はコイツの事、‥ホンマに好きやな。‥‥
といつも痛感する。
幾度となく、叫びたい夜を重ねた。
言葉にならへん想い‥‥
いや、言葉に出来へん想いや。‥‥
酒を飲んではアイツを想い‥
夜空を見上げてはアイツを想った。‥
そんな事も、もうすっかり身についてしもた。‥
そうやなぁ、アイツが始めて声をかけてくれた時からずっと、手を伸ばせば届きそなアイツの背中を追いかけてきたんや。‥
喩え、これからの道離ればなれになったとしても‥‥
俺はどこまでもコイツの背中を追い続けて行くんやろな。‥‥
やって、俺は昔からコイツの揺るぎない情熱に憧れていたんやから‥‥
相手がどんな奴やろうと立ち向かえる強さに、‥そしてその信念に‥‥
やからこそ、お前の心にとどまりたかったんや。
ただの同級生なんかに収まりたくなかったんや。‥‥
お前から
「漫才しよや!」ってゆわれた時、泣きそになる位‥
嬉しかった。‥‥
‥あぁ、まだお前の背中を追いかけてゆけるンや。‥‥
って思た。
せやな、‥‥
いつか追い付いてお前の隣に並べたら‥‥‥
‥‥‥ええのにな、‥‥
今は、舞台の上でしか並べんけど‥‥
しゃぁない。‥‥んや。
だから、今、この時を大切に‥
誇りをもってお前と一緒に漫才を始めよう。‥
「ンッ!よっしゃぁー!行くでついてこい。」
その言葉が合図の様に‥‥
俺は今日もアイツの背中を追いかけて、
隣にたつ。‥
アイツへの想いが並ぶかのように‥‥
終り──。
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