幼なじみ

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いつも最後まで話をしない。‥‥‥ まぁ、もともとあまり話をしない方だけど、‥‥ 部屋につきインターフォンを押すとまだ寝癖のついた頭でドアを開けてくれる。 俺は部屋に入るなり、 「何で?‥‥何でなん?‥」 「‥?‥何が?‥」 「俺の事避けてるやろ。‥‥」 「いきなり何っ。俺、そんなんしてへんやろ。 お前の方が‥‥‥」 また、口ごもる。 「俺がなんやねん。はっきりゆえや。」 「‥いい。‥別になんもない。」 そう言って顔を背ける。 「コーヒーでも飲むか?‥‥」 「いらへん。」 「はぁー‥‥‥。お前、今日は用事あったんとちゃうんか?‥‥」 「‥かず君、ずるいやん。話反らしてばっかで。 俺、かず君の事‥‥全然解らへん。」 俺の方を一瞥してまた、ため息をつき、 「時間‥‥‥無いんとちゃうんか。早ょ行かな。‥」 「関係ないやろ。‥もうええ!!」 ソファーにどっかり座り爪を噛む。 気が付けばここ1ヶ月、こんな会話が続いていた。 もっと俺は一緒に居たいのに、どうしても喧嘩になってしまう。 と、ゆうか‥‥俺が切れてしまう。 なぜか解らない。‥ いつも何か言いたげなのにすぐに口をつぐむ。 本当の気持ちを知っているつもりだったのに‥‥‥ かず君の気持ち‥‥ ‥‥解らへん。 好きってゆうてくれた‥‥ ‥‥俺がゆうと、微妙な顔をして目を反らす。 俺ばっか話してて‥‥ 何でなん?‥‥ 俺はかず君を盗み見る。 やっぱり困惑した顔だ。 時計を見ては何か一人言を言っている。 (もう、‥俺は何してんだか。‥‥ 貴史も俺に愛想つかしてるんやろな。‥はぁー‥‥。) (また、ため息ついてるし。‥‥やっぱり、俺との事‥‥アカンのかな。‥‥) 情けなくなって目を閉じた時、 「なぁ、‥‥行かんでええンか?‥‥」 もう一度おんなじ事を聞きながらゆっくりと俺の方を見て驚いた顔になる。 俺の傍に座り頬に手をあてる。 「何で泣くんや。‥‥」 知らず知らずの内に涙が零れていた事に気付くも、かず君の手を払い除けてしまう。 ‥また、困った顔してる その顔を見ると何も言えなくなる。 せっかくの土曜日だとゆうのに。‥‥‥ 「貴史‥‥行きたく無いんやったら、‥‥ここに、‥‥」 また、途中で黙りこみ何を言いたいのか全然解らない。
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