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「あぁ、俺。‥今日は無理やわ。‥‥うん、そう。‥‥ありがとな。また今度ゆっくり‥‥‥うん話するし。‥‥うん、またな。」
携帯を閉じながら誰にゆうでもなく呟く。
「どうせ、たいした用事なんかやないし、‥‥彼氏の愚痴ばっかやし。‥‥あっ、かず君携帯ありがと。」
携帯を返そうとした時、ふと思った。
かず君の携帯を見たくなった。
あまりにも無防備に俺に手渡した携帯を‥‥
‥これって、俺の事を信用してるからなんかな。
携帯はまだ俺の手の中にある。
パタンっ、パタンっ、パタンっ、‥
一定の間隔で音がなる。
静かな空間‥‥‥何もゆわなくてもお互いわかりあえているような‥‥
少し離れて、
‥‥手を伸ばせば届きそうな、
‥‥肩が触れあうか触れ合わないか
‥‥微妙な位置関係。‥‥
「かず君、‥今日用事はあんの?」
「‥いや、‥‥別になんもない。‥‥けど‥‥」
「ん?、‥‥そっかぁ、‥どうしょうか。」
「‥ごめん。‥‥俺、すげぇ格好悪いよな。‥」
俺は掴まれて赤くなった腕を無意識にさする。
その腕を申し訳なさそに見つめながら、
「‥痛いか?、‥ごめんな。」
「えっ?、‥‥あぁ、大丈夫やで。こんくらい、ちょっと赤ぁなっだけやし。」
かず君の視線に気づき俺は少し笑うと、首を横に振り俺に一歩近づく。
「‥かず君、‥‥」
「‥‥俺な、‥酷い妬きもち焼きなんやねん。‥」
ポツリ、ポツリと話し出す。
「俺、貴史の‥‥事、傷つけたないのに、‥‥」
「ええって、‥それよりどうすんの、これから。」
「ぅん、‥‥もし‥‥ その、俺と‥‥ここで、‥」
また途切れる。俺は、次の言葉をまった。
「貴史、‥ごめん。そのな、‥‥」
上手く言葉が繋がらない。
「あっ、どっか出掛けようか。‥‥嫌じゃなかったらだけど、‥‥それより、‥‥」
考えながら話してるのが、痛いほど伝わってくる。
俺は、ゆっくりとまった。‥
今、俺だけの為に考えて話てくれてる。
‥俺だけの事を
そう思える事が嬉しかった。
「貴史、‥ホンマに悪かった。‥‥俺ホンマにアカンたれや。‥なんてゆうたらええンか解らへんねん。‥‥そやけど、貴史、‥‥あのな。‥‥ 」
何度も俺の名前を呼ぶ。‥‥けど、俺の方を見てくれない。‥‥けど、痛いほど切なくなる。
‥かず君、それってもしかしてな、‥‥
照れてんのかな。‥‥
俺はかず君の顔を無理矢理自分の方に向ける。
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