花言葉

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‥カサブランカとかカラーとか、お前等の勝手なイメージやんか。‥‥ホンマのアイツの事なんか知らんくせに。 そんな想いがぐるぐる廻り集中が出来ない。 身ぶり手振りで話するアイツの手がさっきの花と重なる。 ‥白くて大きな‥‥‥‥ そして、‥‥蕾が‥‥俺だけが知っている。 ‥猛々しいモノと‥‥‥ そんな事ばかり考えていた。 本番になり益々腹がたってきて、 ‥何っ! やねんっ!コイツがそんな大層な花とちゃうわ!! と訳のわからない怒り。 それでもいつもと変わりなく舞台を下りる。 夜になり、花の香りがキツくなってきた楽屋でまだ燻り続いている怒りをもて余している、俺‥‥ そんな俺に気付いたアイツは着替えながら 「なぁ、‥何で機嫌悪いん?」 「うっさいんじゃ、‥なんもあらへん。」 つっけんどんに答える。 「そうなん?なんやったら、話聞くけど。」 「なんもあらへんって、ゆうてるやろが。うっさいんねん!ほっとけや!」 思わずデカイ声がでて皆がこっちを見る。 アイツはバツが悪そうに「お疲れ様です。」と一声で出ていった。 楽屋では皆がいつもの事と捉えていたが俺は少し不安になった。‥ 俺にだけはわかる。‥‥いつもと違うタイプの怒り。 そう‥‥‥ ‥‥何、すねてんねん‥‥と‥ 俺も楽屋を出て最近見つけたケーキ屋によりアイツの好きなプリンを買う。 その足でアイツ部屋に、‥ 下から見上げると灯りがついていてアイツの影が見え隠れする。 いつも思うのだがこの瞬間、幸せに感じる。 やってや、‥約束してへんのに、なんか俺の事待っててくれてるみたいやん。 勝手知ったる部屋のドアを開けて中に入り声をかけるが先程の影の主が見当たらない。 もう一度だけ、 「オーイ、井本。一杯やりに来たで。」声をかけたが無反応‥‥‥ ‥おかしぃな。 バスルームでシャワーの音がする。 俺はプリンを冷蔵庫に入れバスルームに向かって声をかけたが無反応‥ ‥アカンな、ムッチャ落ち込んでるやん。 服を脱ぎバスルームに入る。 「俺も一緒に風呂入れてな。」と後ろから抱き締めると、驚いた顔をしてアイツは我にかえる。 「入ってくんなや。‥‥」 「ややぁ。‥たかちゃん拗ねてたやろ。‥‥機嫌なおしてや。」 「拗ねてへん。‥」 「またまたぁー、そんな事ゆう。ほらっ、頭洗ろたるから座りぃな。」 「‥ン。」 素直に座り俺にされるがまんま眼を閉じている。
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