美術の時間

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薄暗がりの階段を上って扉を開ける。 梅雨明けの眩しい光が目に飛び込んで視界が白む。 「井本~おるんやろ?」 給水タンクの陰に声をかける。 「‥んっ ナンやお前もサボりか?」 持参していた枕から起き上がる。 「ちゃうわ!ボケッ!‥似顔絵描いて放課後  までに提出やって‥」 手に持ってたスケッチブックと鉛筆を渡す。 ‥提出せな、赤点やぞ と、付け加える。 枕を抱きしめながら、チッ!面倒くさ! と、悪態をつく。 「昼寝の為に枕まで持ってくんのに、絵  描く位ナンやねん」 「はい、はい」 お互いに向かい合って座り、描き始める。 よぉー考えたらこんなマジマジと顔見んのはじめてやわ‥ ‥照れくさ ‥ヤッパ、格好ええなぁ。けど俺、絵心0  やねん 目の前のアイツは真面目に描いて居ると思いきや‥ 「オカマやんかぁ‥」 「ウマイやろ~」 はぁ‥ええ加減にしてくれや 「真面目にしよや‥」 「‥」 「どしたン?‥」 不意に黙り込ンだので不安になる。 ‥やって藤原が目そらさんと見るからやン  ドキドキして描いてられへんやン  腹立つわー!お前ごときに何でやねん! チッ!‥‥ ビクッ!! 「何でキレんねん‥チャッチャと描いて寝たら  ええやんかぁ」 「そうするわ」言うが早いか、5分で描きあげた。そのまま寝ッ転がってしまいそになったので、 「悪いけど座っといてや、俺まだ描いてへ  ん」 「はぁー!?しゃぁないな‥後でジュースな、  終わったら起こしてや!」 「おんっ‥」 しばらくすると、枕を抱き締めた井本から寝息が聞こえてきた。 ‥ホンマに気持ち良さそに、よぉ寝るな 呆れてしまう。そんなアイツをかわいいなぁって思う自分に‥ 「俺もチャッチャと終わらして寝よ」
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