美術の時間

4/8
前へ
/384ページ
次へ
鉛筆を動かしている手を止めて、 ‥ウマイ事描かれへんや  このまま時間イッパイまで寝顔みてよかな 「‥ぅ‥うんっ‥‥」 湿気で寝苦しいのか、少し眉をひそめる。 傍に寄り、短めの前髪を指でなぞる。 「‥ふぅ‥ん‥」少し開いた唇から吐息が洩れる。 ‥なっ、ナンやエロ~俺ドキドキしてるやン 指が髪に触れる。そのまま頭を撫でるカタチで頬に触れ、ふっくらした形の唇に指が‥ 「なんっしてん‥!」 起きたアイツが睨んでいた。 「‥ぇっ‥ごめん‥ちゃうであの‥」 「はっきりゆえやぁ!」 真っ直ぐ目を見据えられ大きな声を出されると本音を言いそうになる。 ‥?‥ちよっと待ってぇな‥本音って何?  エッ‥嘘やン!?俺、コイツの事‥好きなンか??!   マジマジとコイツの顔を見る。顔が真っ赤になって鼓動が高鳴る。 ‥アカン‥マジかも‥どないしょ 頬に置いた指で唇に触れて、 「井本‥よだれ垂れてンで‥」 精一杯の強がりを言った。 井本はクスリッと笑って 「寝てたらヨダレもでるわ!それより、  描けたんか?」 「もうちょっい‥」 「はょ描けや!後は居らんでもええやろ」 スボンの埃を払い立ち上がりる。 「えっ何処行くン?‥」 ‥変に思われた?もしかしてバレてしもた  か?‥  俺このまんま、ほっとかれンの いやや! 「ジュースこうてくる。何がええ」 ‥あっ普通や 「奢ってくれるン?‥」 パコーンッ‥ 「甘えんな!!後で金貰うわ」 ‥手が早すぎやって‥痛いやン 「じゃ‥ファンタ‥」 「帰ってくるまでに描きあげとけ!」 歩き出した後ろ姿に 「は~い」と、返事をして鉛筆を拾い上げスケッチブックを黒く塗り潰した。
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加