美術の時間

6/8
前へ
/384ページ
次へ
ばっこーンっ!! 「何っ寝てンねん!」 「‥ぁっ‥ごめん‥この枕ええなぁ」 「ほいっ‥コーラ」 「ありがと‥夢みてた」 ほわぁ~とした顔でまだ夢見心地でホヨホヨとしてる。 「描けたんか?」 「ばっちしー!って俺ファンタってゆうた  やン。コーラは全部よう飲まへん‥」 「売り切れやったねん。」 「そっか~‥なぁ‥  俺なぁ嬉しかったねんな‥」 ホヨホヨとしたままで、訳のわからん事を言い出す。 「井本と居って楽しいねんな‥また明日  って言葉がはじめて好きになってン」 はぁー!コイツは一体何が言いたいンや? 「俺、井本が好ッきゃねん‥!」 飲んでいたコーラがキレイに霧になる。 ブホォッ‥いきなりナンやねん 「‥何っ‥寝ぼけてんねん!!!」 「アハハハ~寝ぼけてないよ。」 笑いながらも真剣な眼で、よく見るとコーラを持った手が震えている。 ソレを見て俺の手も震える。 本音を晒さない藤原が自分から壁を壊して気持ちを語っている。 「枕がなぁ、お前の匂いすんねんな‥そん  でなぁ、息を思いっきり吸い込んだら痛  いくらい胸が‥‥切なぁなるねん。」 小さく‥キショイな、ごめん‥ 枕を抱き締めてうつ向く。 「‥さっきお前が手を握ってくれててな‥  俺、勘違いしそうになったわ‥ごめん!  忘れて‥そやっ、先生に絵提出してくる  わ!」 逃げるように立ち上がり走り出す。
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加