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土曜日。早目の部活が終り明日の時間を確認する為、空手部の部室に向かった。
‥ついでに、帰りチャリでニケツしてもらお‥
先に体育館を覗くと、柔軟して終りのようだ。不意に後ろから声をかけられた。
「これ、藤原君に渡して頂けますか?」
「は? 」
有無を言わさず紙袋を手渡される。
‥ナンやねん、!!俺は宅配業者とちゃうぞぉ
ー!メッチャ!ムカつく!!
突っ返す事も出来ず可愛いピンクの袋を眺める。背後から急に肩を掴まれ、呆然となる。
部活が終わって空手着のままで、顔面蒼白の藤原が立っていた。
「……」
「ナンやねん! オバケみたいに突っ立とンなや
ビックリすんやんか」
少し情けない顔をして、紙袋と俺の顔をチラチラ見る。
「ナンなん…それ…なぁ、告られたん?…」
でっかい図体してるクセに、小さく低い声が震えている。
手が白くなる程固く握りしめ震えている。唇は噛みしめ過ぎで今にも血が出そうだ。
‥コイツ、嫉妬してるんや…
そう思っただけで、背筋がゾクッとざわつく。
話している横を、
「ケンカするンやったら学校ですんなや」と、他の部員が帰っていく。
「最後に鍵かけろよ。」
余程の険悪な雰囲気なんだろう。関わり合いたくないのがまるわかりだ。ふと我にかえり思わずため息が洩れる。
「はぁ‥」
‥俺がヤキモチ妬く前に、妬かれてもな
聞きたいのはコッチや…
「はぁ‥って、ナンやねん‥なぁ誰なン?
ソレはナンなん?!!」
誰も居なくなったせいか徐々に声が大きくなる。
つい、眉間に皺を寄せてしまった。
「睨んでも気にせぇへんよ。なぁ‥俺が好
きなン知ってるよな‥」
切な気に言う。
「ナンでわざわざこんなトコで…見せつけンで
もええやン……」
それだけ言うと行ってしまった。
ピンクの袋と俺を置いたままで、
「どうせぇっちゅうねん‥」
‥人の話聞けや! ナンなんホンマ、ため息でる
わ。明日どうすんねん。‥
空を見ると少し曇りがかってきている。
「まっ、チャリのトコで待ってよか、着替えた
らくるやろ」
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