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「僕は何を・・・?」
気がつくと目の前には血だらけのさっきの、おじさんが居た。
「雅己?」
麗華が涙を流しながら、こちらにゆっくりと近づいてくる。
「麗華・・・僕は何をしていたんだ?」
「・・・」
麗華は何も言わず、ただ俯く。
「麗華・・・」
「さっき起きた事は私が説明しよう」
「!?」
いつの前に麗華の後ろに!?
「さっき、お前はその大人に飛び掛かったのだ。そして、お前はそのクズに勝った・・・それが力だ・・・」
血に染まった手が震える・・・
力?
違う
力なんかじゃない・・・
ただ、俺は麗華を守る為に・・・
「ま、そんなのはいい。麗華帰るぞ。お父さんをあまり心配させないでくれ」
?
待て・・・
今何て?
お父さん?
このダンディな人が?
誰の?
僕?
いや、麗華か!!
「うん・・・お父さん」
「もう、お前の自由はないと思え。今日みたいな目に合ったらどうするんだ?私はお前に何かあったら・・・」
「ごめんなさい・・・」
麗華はお父さんに腕を掴まれ、連れていかれる。
「あっ」
俺の方を向いた。
その顔は悲しそうで、助けてほしそうな顔に見えた。
「待ってください」
「何だね?」
麗華のお父さんが睨んでくる。
正直怖くておしっこが漏れそうだけど・・・
僕は麗華と明日も遊びたい!
「僕は麗華と約束しました。明日も遊ぶと・・・あなたは
娘に約束を破らせるのですか・・・それでも、世界の龍双寺ですか?」
「何?」
麗華のお父さんの眉がぴくっと動いた。
「少年よ。私は麗華に今日みたいに合わない様に・・・」
「なら!!俺が守る!!」
「・・・出来るのか?お前に?」
「さっきのを見てたんでしょう?なら、わかるはずですよね?」
「・・・」
しばらくの間沈黙が続く・・・
「ふふふ・・・はっはっはっはっはっは!!」
「お、お父さん?」
「いや~すまんすまん。少年よ。お前を試したのだ」
「た、試したって・・・」
力なくその場に崩れ落ちる。
そんなのひどいや・・・
「お前は合格だ。私の名前は桜花(おうか)だ。少年。お前の名前は?」
「雅己。濱田雅己です」
「濱田雅己だと・・・お前父親の名前は何だ?」
父親?
父さんがどうかしたのかな?
「雅人(まさと)です」
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