プロローグ

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side ‡ 瑠一 窓から見える桜の花吹雪が、意味もなくテンションを上げさせる4月。 麗らかな春の陽気は、もれなく藍を4月馬鹿にした。 『お前は理事室にいろ』 「やだ、天使の奴見たい」 埒の飽かない押し問答は昨日から続いている。 そろそろ入学式の打ち合わせに行かねばならないというのに、藍が「オレも行く」と言って聞かないのだ。 所謂ダブりの編入生扱いの藍は、入学式には出る必要がないのにだ。 藍の言う“天使の奴”とは、先日教会で話してやった子の事だろう。 綺麗なものや可愛いものが意外にも“ツボ”だったらしく、その子に異常なほど興味を示していた。 俺は俺で、藍のその風貌から、なるべく目立つな――…と諭す。 今までの様に目の届くところに置いておけないこともあって、何かと心配になってくる。 (無駄だろうけどな…好奇心旺盛な子犬並だし) .
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