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――― いらっしゃませぇ!
明るい店員の声がかき消されそうな店内のざわめき。
甘い物に目がないオレにとって、そんな騒々しさを差し引いてもお釣りが来るくらい幸せな空間だ。
(甘い匂い…シアワセ…)
気になるドーナツが幾つもあったのだけど、帰ったら瑠一のご飯があるからな…
(ここは、我慢だっ)
……と、……………5つだけにしておいた。
アイスティーをお供に“神様の言う通りっ”で決めながら、ドーナツを頬張る。
「……………うまぁい」
涼介さんのケーキもすっげぇ旨いけど、ガツガツ頬張るドーナツもなかなか。
「ラン、甘いの好きなんだねぇ」
「みたいだな」
「………おう!滅茶苦茶大好きだっ」
甘いシアワセの固まりをアイスティーで飲み下して頷いた。
(友達には素直に言えるんだよなぁ)
目の前でニコニコと笑顔を絶やさない日和を見ながら、素直に言えない相手の名を口の中で呟いた。
―― 瑠一には無理…
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