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まだ陽は明るいけど、そろそろ時間だと揃って食堂に向かった。
その道すがら、日和の様子が気になる。
ロビーの時みたいに、辛くなったりしないだろうか。
「なぁ、それそのまま行くのか?」
「あ……やっぱ着けた方がいいかな?」
黒いカラコンを外したままの裸眼は、目の覚めるような青のまま。
そりゃぁ、その方が似合ってて綺麗だから、裸眼を推したい。
けれどその分、投げて寄越される視線は多くなるし、欲も余計に混ざる。
「見せたくないのと、見ていたい気持ちが天秤状態」
「ランったら、何それ」
志貴やオレにカラコンを着けるべきか訊く日和だって、不安がないわけじゃない。
でも、「堂々としていたい」らしい。
日和は結局、カラコンを着けなかった。
これから先ずっと青い瞳で行くことに決めた。
それは、日和が志貴の隣で幸せになる為の覚悟。
注目されることやなんかは勿論だけど、あの恐怖を乗り越えるための決意の一つだったに違いない。
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