20

27/39
前へ
/388ページ
次へ
まだ陽は明るいけど、そろそろ時間だと揃って食堂に向かった。 その道すがら、日和の様子が気になる。 ロビーの時みたいに、辛くなったりしないだろうか。 「なぁ、それそのまま行くのか?」 「あ……やっぱ着けた方がいいかな?」 黒いカラコンを外したままの裸眼は、目の覚めるような青のまま。 そりゃぁ、その方が似合ってて綺麗だから、裸眼を推したい。 けれどその分、投げて寄越される視線は多くなるし、欲も余計に混ざる。 「見せたくないのと、見ていたい気持ちが天秤状態」 「ランったら、何それ」 志貴やオレにカラコンを着けるべきか訊く日和だって、不安がないわけじゃない。 でも、「堂々としていたい」らしい。 日和は結局、カラコンを着けなかった。 これから先ずっと青い瞳で行くことに決めた。 それは、日和が志貴の隣で幸せになる為の覚悟。 注目されることやなんかは勿論だけど、あの恐怖を乗り越えるための決意の一つだったに違いない。 .
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4742人が本棚に入れています
本棚に追加