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陽菜子は目を疑う前に写メを収めた。
自分の体で数本の鉄筋から岡理を庇っていた。
両者傷ひとつなかった。
その時、男がなにかに気づいた。
同時に鉄骨を掴み、まるでダーツの如く陽菜子に向けて投げた。
「!!!」
ドギュッ
それはもの凄い音で陽菜子の数センチ上、コンクリート塀に突き刺さった。
2度目の音が鳴った。
ガンッ
辺りは沈黙に包まれた。
「キャ…
キャーーーッ
殺される~~~!!
沈黙の時を破り陽菜子は思いっきり走った。
コンクリートに突き刺さった鉄骨は鉄骨を受け止めていた。
つまり、陽菜子に倒れかかる鉄骨を男は鉄骨を突き刺し、止めたのだったが、
「?
なんなんだ
あの女は…」
陽菜子は明らかに何か勘違いしていた。
「ゴ…ゴホッ、」
岡理が力無く口を開く。
が、男は向きを換え歩きだす。
「つーか、あの状況、フツー逃げるよな?
お前一人で逃げられたよな?」
岡理は続けた…
「それが、オレを助けるために鉄骨の雨の中を…!?
ハハ…イカレてるぜ!!
わ……わけわかんねぇよ。」
男は立ち止まり言い放った。
「あんたにも、家族がいるんだろう?」
「……………」
岡理は絶句し唖然とした。
ただその場でうつむいた。
「行く前に聞きたいことがある…
この街で、首におかしな刺青(タトゥー)を入れた連中を見たことはあるか?
真紅の不死鳥が刻まれたデザインだ。」
「いや……ない…」
男は向きを換えてまた歩き出した。
「そうか……………じゃあな…」
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