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「お姉ちゃ~~~ん!
陽菜子お姉ちゃ~~~~~ん!
どこ~~~?」
幼児の少女が大きめの紙を持って慌てて人に尋ねる。
「あのっ
月美のお姉ちゃん知りませんか?」
「こんなカオの………」
紙を見せて尋ねるが、大人たちは皆無視した。
「あのっ…」
夢中な少女が不意に女性にぶつかり、
「月美のお姉ちゃんは…」
少女が尋ねるのを遮り、
「ちょっと、ジャマよ!」
「うみゅ………」
ぐしぐしと目に浮かべる涙を拭う。
そこへ、ポンッと大きた手がのっかった。
「どうした、嬢ちゃん?」
――――
「キャハハハーー
すごいすごいっ
お兄ちゃんお山みたーい!」
「そうか?」
月美ね、こーんな高い肩車はじめて!
幼児の少女、月美は3メートル程の大きな3本角の髪をした男に肩車されてはしゃいでいた。
「月美は姉ちゃんとはぐれたのか?」
「ううん、
陽菜子お姉ちゃんが保育園に迎えにきてくれるって言ってたのに全然こないの。」
「それで一人で帰ろうとしたら道に迷っちまったのか。」
「うん。」
思い出したように涙を浮かべる月美に男は言う。
「困った姉ちゃんだな。
しかし、
住所もわからないなら月美の姉ちゃんを捜し出すしかないな…」
「あっ!!」
「どうした?」
「んーとね…」
月美はバッグから紙を出して楽しそうに一声。
「ハイ!」
「これが陽菜子お姉ちゃん、右のが月美!
月美のパパとママは外国でお仕事してるから陽菜子のお姉ちゃんがママのかわりなんだ。
でねっ、いっつも写メをとると月美に一番に見せてくれるの!」
男は絵を見てフッと優しくほほえみ、言った。
「いい絵だな…」
「ホント?
今日ねっ、保育園でねっ、かきおわらなかったからお家でかいて明日また持ってくの。」
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