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「もう二度とああいう人に近づいちゃダメよ!?」
「お兄ちゃんはやさしかったよ?」
「何言ってんの!
お姉ちゃんなんて危うく殺されるとこだったのよ!?」
「あーん、痛いよ、お姉ちゃん、ひっぱんないで!!」
男は去って行く姉妹を見るとフッとほほえみ振り返った。
が、
「キャア!!」
悲鳴があがった。
「いてて………!!」
「いった~~~~…」
姉妹は柄の悪い輩とぶつかった。
「つ…月美大丈夫!?」
「う゛みゃ………」
「オイコラ!!
どこ見て歩いとんじゃおどれら!?
人にぶつかっといてなんの詫もナシかい!?」
輩の男は血気盛んに怒鳴った。
「す…すいません!!
い…急いでたもので…
その…あの…」
「あっ!?」
月美は絵を踏まれている事に気が付いた。
「月美の絵………!!
あ~~~ふんじゃダメ~~」
「おっ……なんだこのガキ?」
「ダ…ダメよ月美!」
輩の気にさわる事を恐れて慌てる陽菜子。
「あーん、なんだこりゃ?」
「かえして!
かえして!」
「………ケッ!!
へったくそな絵だぜ……!!」
輩は絵をビリッと破り棄て、踏みつけ、唾を吐き捨てた。
「次から気をつけろクソガキ共!
ぺっ!!」
輩はケッっと去って行く。
「………
はーー…助かった…」
「ひくっ……ふぐ……っ、月美の絵が……」
「つ……月美!!」
一連を見ていた男は破れた絵を見て、カチンと来た。
「!!」
「うあ~~~~~~ん!!」
「ホラホラ泣かないの!
絵なんてまた描けばいいじゃない。」
ホラホラ涙ふいてっとばかりに月美を宥める陽菜子。
男は近づき、
「よくねぇよ……」
と輩の去って行った方を向きながら男が言い放った。
「え?」
「それじゃあスジが通らねぇなぁ……!!」
男は輩が路地の向こうにいるのを拳を握りしめ、睨みつけた。
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