第1話:膝

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  かくもこうして、歩くこと数分。 赤面したままの春菜と手を繋ぎながら、これから3年間世話になる寮に到着した。 外装は明るめのオレンジやベージュを基調としたタイルで敷き詰められている。 高さは4階建てで、築5・6年くらい。 収容されてる生徒は大体28人ほどだろう、1階につき7部屋はあるから。 ……で、俺の部屋は最上階の401号室だ。 「────ふぅ、“ただいま”……でいいのかね?」 「……どおぞご自由に…」 いかん、かなりご立腹だ。 どうやら流石に調子に乗りすぎたらしく、春菜の声が暗い。 ヤバい、これが別れる原因とかになったらマジで死ねる。 あ、自殺な? 「ホンット悪かった!調子に乗りすぎたよな、今手ぇ離────」 「………だめぇ…っ……」 手の離脱失敗。 現状意図不明。 反省の意を込めて離そうと手の力を抜いた瞬間、春菜がキュッと握ってそれを止めた。 あれぇー? 「恥ずかしかったんじゃないのか?」 「……だって、今はニヤけても…誰にも見られないし……」 あー、読者の皆様。 下品な意見かと思いますが、言わせて下さい。 ドキドキ通り越してムラムラしてきたッ! ……よし、スッキリしたぁ。 お巡りさん、犯罪予備軍がここにいます! 「こ…幸くん、大丈夫?」 俺の様子がおかしいことに気付き、春菜が可愛らしく小首を傾げながら訊ねた。 安心させねば。 「うん、理性以外は♪」 「……ホントに大丈夫なの?」 失敗した。  
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